内容説明
ローマ最高の人気作家が、技の限りをつくして「笑いの策略」をめぐらすバラエティ豊かな五篇。
著者等紹介
木村健治[キムラケンジ]
大阪大学言語文化部教授。1946年、京都府に生まれる。1976年、京都大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。大阪樟蔭女子大学講師、助教授、大阪大学助教授を経て、1992年、現職
岩谷智[イワヤサトシ]
大谷女子短期大学教授。1954年、愛知県に生まれる。1983年、京都大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。大谷女子短期大学講師、助教授を経て、2001年、現職
竹中康雄[タケナカヤスオ]
京都女子大学文学部専任講師。1953年、奈良県に生まれる。1981年、京都大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。1984年、現職
山沢孝至[ヤマザワタカユキ]
神戸大学国際文化学部助教授。1955年、大阪府に生まれる。1985年、京都大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。京都大学助手、神戸大学講師を経て、1998年、現職
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感想・レビュー
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roughfractus02
5
著者(BC254-BC184)の生きた共和制ローマはカルタゴとのポエニ戦争の只中にあった。戦争は悲劇によって神々や英雄を過去から復活させるが、喜劇によって社会のあり方を露骨に描写する。喜劇がゼウスを強姦好きの男に格下げする時、強奪や虐待を是とする社会が浮き彫りになる。パロディ化は、喜劇が劇の観客を社会から突き放す残酷さをともなった力なのである。主人に恋人(女性奴隷)を奪われた奴隷が偶然の力によって恋人と再会し、双子だと嘘をつく話は、女たらしを自称する主人を笑い、奴隷の狡知を称賛する(「ほら吹き兵士」)。2019/07/09