出版社内容情報
私は、ガレノス『自然の機能について』(三千円)とセクストス・エンペイリコス『ピュロン主義哲学の概要』(三八〇〇円)しか買ってないが、どちらも、もっとずっと早く日本に紹介されてしかるべき本だった.....。(立花隆『ぼくが読んだ面白い本・ダメな本 そしてぼくの大量読書術・驚異の速読術』233頁、より)
内容説明
近世哲学の形成に歴史的な影響を及ぼした古代懐疑主義哲学が今、初めて全容を現わす。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
roughfractus02
3
主観を世界や宇宙に拡大する形而上学がソクラテス以後の哲学に浸透するヘレニズムの時代、ピュロンが主張した懐疑主義は経験の世界への拡大を拒否した。ピュロン哲学の紹介と題された本書は、プラトン派のみならずストア派、エピクロス派の哲学にも異議を唱え、判断停止(エポケー)の力によってアタラクシア(平安)を得ようと、思考の領土を最小化するロジックを展開する。本書は、国民国家の時代にヒュームが経験論を構想し、帝国主義の時代にフッサール現象学に影響を与えたように、世界が肥大する時代にその原理に異議申し立てするように蘇る。2017/03/07
ppp
2
ずっと読もうと思っていたがようやく。近世哲学の隠れたバックボーンの懐疑主義の根源であるが、精神的平静への志向、受動的認識に立脚した知覚や認識の個人主義的視点は、改めて哲学史を勉強する重要性を感じる。2014/07/18