「臨床心理学」という近代―その両義性とアポリア

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  • サイズ A5判/ページ数 320,/高さ 22cm
  • 商品コード 9784876721849
  • NDC分類 146
  • Cコード C0011

出版社内容情報

Ⅰ部
第一章 「臨床心理学」の問題系
1「臨床心理学」という突出現象
①今、なぜ「臨床心理学」なのか
②突出現象の裏側
2ポピュリズムと心理学
①ポピュリスト・ナショナリズム
②心理学知見と市場主義経済
3「心いじり」に群がる人々
①学校や家庭を覆う心理学熱
②「心の教育」と臨床心理学
③不安緩和剤としての「心いじり」
4もうひとつの「逆転移」~臨床家の「シニフィアン」と「シニフィエ」~
①臨床家とは?
②指導者の言説
③脱・主流言説の周辺
④もうひとつの「逆転移」
5「臨床心理学」というイデオロギー~人間観を追う~
①心理学成立の経緯
②臨床心理学の今日像
③セラピー・そのイデオロギー
④「病者」=当事者の眼差し
第二章 市場競争原理主義と「心理学」の台頭
1個体還元論(こころ主義)の蔓延
①「こころ」が言挙げされる時代
②「こころ主義」の陥穽
2消費社会における個人化の進展と「心理学」の役割
①消費財としての家族
②グローバル経済の中の個人
③個人化の進展と専門家依存
解釈
②「精神分析」私見
2フェティシズムと近代性
①フェティシズム形成のメカニズム
②近代化というイデオロギー
③わが国における近代批判の潮流
終章 アポリア超克は可能か~パラダイム変換への視座~
1「臨床心理学」の射程と限界
①職業的倫理について
②生活・援助場面の心理主義化
③知識社会学の示唆
2「エスノメソドロジー」という視点
①現実の社会的構成
②「エスノメソドロジー」とは?
③セラピー言説の拡張
④社会学の刺激的試み
3「共生・共存」へのアプローチ
①「弱さ」との「共生・共存」
②当事者性ということ
③教育場面における「共生・共存」
④結び


臨床心理学という近代知を読み直す!

近代を批判的に透視したフロイト、マルクス、ラカン、アルチュセールらの理論や 社会学の知見にも依拠し、「共生・共存」に根差した「節度の臨床心理学」復活への道筋を探究。

市場競争原理に取り込まれ拡大化しつつある、臨床心理学という近代知。 今日の臨床心理学は、個人還元論が優勢で、社会・状況還元論は退潮傾向にある。そのアンバランスな構図に不健全な時代状況が映し出されている。 はたして、この近代知は個に優しい知なのか。共同性感覚を育む知となり得るのか。

内容説明

近代を批判的に透視したフロイト、マルクス、ラカン、アルチュセールらの理論や社会学の知見にも依拠し、「共生・共存」に根差した「節度の臨床心理学」復活への道筋を探究。

目次

第1章 「臨床心理学」の問題系(「臨床心理学」という突出現象;ポピュリズムと心理学 ほか)
第2章 市場競争原理主義と「心理学」の台頭(個体還元論(こころ主義)の蔓延
消費社会における個人化の進展と「心理学」の役割 ほか)
第3章 「臨床心理学」という近代(「臨床心理学」のアポリア;「個人の病理」と「関係性の病理」 ほか)
第4章 近代性と精神分析(精神分析の深淵;フェティシズムと近代性)
終章 アポリア超克は可能か―パラダイム変換への視座(「臨床心理学」の射程と限界;「エスノメソドロジー」という視点 ほか)

著者等紹介

大森与利子[オオモリヨリコ]
神奈川県藤沢市在住。静岡県生まれ。1979年、立教大学大学院文学研究科博士前期課程修了。心理治療機関、地域の相談センターカウンセラー、大学、短期大学等の非常勤講師・学生相談室相談員などを経て、現在、関東学院大学、人間総合科学大学等の非常勤講師及び地域の研修会講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。