内容説明
ペリー艦隊を目のあたりにした名もない人々は、何を見たのか、感じたのか。古記録の復元とともに、わかりやすい解説で幕末庶民の国際感覚を知る。嘉永七年(一八五四)のペリー艦隊来航直後に記されたといわれる「亞墨理駕船渡来日記」。神奈川新聞の前身である横浜貿易新聞は、この古記録の連載を明治三十一年(一八九八)に開始した。本書は、既に失われてしまった原本を、連載記事を底本として復元。横浜開港資料館の史料を組み合わせながら解説を加え、現代に甦らせた貴重な一冊。
目次
発見―古記録に残る“衝撃”
幕開け―網の目の警備体制
緊張―地域の住民も動員
艦隊―朝日を背に近づく
座礁―積み荷を移し脱出
交渉―場所をめぐり対立
落書き―小船の水兵が岩に
漂流物―弾丸に軍事力痛感
祝砲―幕府驚き態度一変
交渉役―浦賀のエース官僚〔ほか〕
著者等紹介
西川武臣[ニシカワタケオミ]
昭和30(1955)年愛知県生まれ。昭和54(1979)年明治大学大学院博士前期課程修了。横浜開港資料館主任調査研究員。博士(史学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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り こ む ん
29
神奈川の中心。横浜の誕生のきっかけとなったペリーの来航。神奈川新聞の前進、横浜貿易新聞に掲載されていた物を翻訳、解説を加えた一冊。日記自体は、条約交渉当時に禅僧が書いたモノが伝わった事になっているけれど、よく分からないらしい。ただ、庶民レベルで見た世界、異国の人々の感想が面白い。兵隊が一糸乱れず行動する姿に感心したり、祝砲を聞いて、日本人が数千薙ぎ倒されたとか、ちょっと間違った情報は有るものの、ほぼ正確に当時の出来事に加えて、そんな事が有ったのかと小さな発見があった。2018/05/09
gatta blu
1
ペリー日本遠征日記を読むまえに横浜の庶民達にはどのように映っていたのか興味があり手に取った。横浜貿易新聞に掲載された記事をはじめ、横浜開港資料館の所蔵史料、地元の民家に残された資料を元に、原文・意訳・解説の構成で纏められている。当時書かれた日本がペリーらに歓待したときのメニューや米国側からの贈答品のリストや絵などの写真がとても興味深い。歴史の表舞台ではかなり激動の印象が強い時だが、地元庶民レベルでは交流ができていたのは意外だった。2014/01/08