内容説明
戦後の貧しい時代に豊に花開いた文芸。ユーモア・エスプリ・お色気は反骨と人間賛歌の証し。もう一つの昭和戦後史を彩った人々。
目次
1(まずはご本家、人気シリーズ『粋人酔筆』を訪ねる;なんなんだ?この版元、粋人粋筆本を続々刊行 ほか)
2(性風俗熱烈探求雑誌「あまとりあ」な人びと;「あまとりあ」的戦後雑誌は陽光の下で楽しむ ほか)
3(敗戦後十年目に誕生した名雑誌「漫画読本」;めでたく入手した「漫画読本」創刊号を楽しむ ほか)
4(巴里と江戸気風のハイブリッド・辰野隆という懐深い文人;戦後の歴史的名座談会「天皇陛下大いに笑う」の三人 ほか)
5(謹厳実直粋人・高橋義孝と好色文芸の戦士・丸木砂土;「万婦みんな小町」の超粋人・奥野信太郎の素顔 ほか)
著者等紹介
坂崎重盛[サカザキシゲモリ]
1942年東京生まれ。千葉大学造園学科で造園学と風景計画を専攻。卒業後、横浜市計画局に勤務。退職後、編集者、随文家に。俳号は「露骨」(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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mawaji
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文藝春秋8月号の著者の一文を読んで手に取りました。敗戦後の軟派系随筆というのも確かにいまどき時代錯誤的で「お色気」なんていっても即物的情報が氾濫している昨今ほとんど死語ですが、「ホーデン侍従」みたいな文人同士の艶笑滑稽のやりとりは雅味にあふれていてどんどん深みにはまりそう。高田保「ブラリひょうたん」は学生の頃に神保町古本屋街で買って読んだ覚えがあるけど内容は覚えてないしそもそもどこで高田保なんて知ったんだろう。辰野隆、東郷青児、徳川夢声、獅子文六、池田弥三郎等々、どんどん積読本がたまってしまいそうな一冊。2013/08/31
jinxixiuwen
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戦後、昭和20~30年代に登場した遊び心あふれた雑誌、本、文人、それらを彩るユーモアやエスプリ、とりわけお色気の散策書。カストリ雑誌系のエロ・グロ路線ではなく、「あまとりあ」「苦楽」や「漫画読本」といった艶笑・お色気路線というような雑誌とそこで活躍した粋人たちを、例によってそれらの表紙や挿絵等をふんだんにまじえて紹介してくれる。当節は随分と即物的な情報が溢れかえっており、ここで取り上げられているお色気とか艶っぽいといった味わいが失われつつあるようで、実に寂しい気分になる。2016/01/28
Hatsumi Sakoda
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第二次世界大戦前からの抑圧的雰囲気から解放されたように種々取り混ぜた様々な本が一挙に出版された戦後を中心に、粋人と呼べる人々の随筆を文字どおり探訪しているが、当時は「本気で遊んでいる大人の文化」があったんだな、と感嘆。唯一困るのは、読んでいると読みたい本がどんどん増えていくことくらいか(苦笑)2015/06/20