内容説明
自分の「老い」を生き、家族の「老い」を支えるために、いまひとが老いることの意味を理解することから始める。ぼけや妄想症の背後に浮かびあがる「老い」の真実の姿。老人医療の第一線に立つ医師が、数多くの経験のなかから描き出した〈12+1の人間像〉をとおしてふれる、老いの心の息づかい。そして、わたしたちの明日への助言。
目次
家がわからなくなったという話―アルツハイマー病になった老人
何もしたくなくなったという話―子らの相続争いのなかでうつ状態になった老人
がんではないか心配だという話―退職後の生活のなかで心気症と思われた老人
隣の人が盗むという話―猜疑心が強い一人暮しの妄想症の老人
頑固で手におえないという話―性格障害で家庭生活を混乱させる老人
眠れないという話―いたって元気だったのに不眠症になった老人
性生活が苦痛だという話―夫の性的欲求との不一致に悩む女性老人
薬をたくさんのんでいるという話―1回11錠1日3回の薬を長年のんでいる老人
退院したくないという話―家族内で世話を押し付け合った老人
一人暮しで気楽だがという話―緊急警報機を取り付けた老人
ホームの生活がなじめないという話―部屋に閉じこまりがちな老人
死にたいといつも言うという話―死と生との願望が共存する老人