内容説明
ハンセン病とは、文明に突き刺った棘であり、現在只今の難題であり、未来を量るコンパスである。現代に託された負の遺産をめぐる“いのち”の旅。
目次
1章 いのちの出会い(療養所の現在―いのちの檻;テレビ出演での出会い―私は何も知りませんでした ほか)
2章 語りのかたち(資料館収蔵品より―日々の道具;小説『あん』の顛末―座布団一枚分の居場所 ほか)
3章 こことむこう(療養所記録写真から―隠された「共和国」;隔離の島で生きる―ここがふるさと ほか)
4章 世界と結ぶ(ハンセン病を撮り続けて―ひとりと世界の物語;海外取材現場から―「不可触民」になるということ ほか)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ベーグルグル (感想、本登録のみ)
48
多方面からのハンセン病に関わった方の話とカラー写真も豊富で、ハンセン病の歴史について学べる1冊。そして日本だけでなく、海外でのハンセン病についての現状や政策などについても書かれている。世界にはまだまだハンセン病に新患としての発症例も多く、今では感知する病気だが、国によっては多剤併用療法( MDP)を使用出来ない状況など問題点についても触れていた。2019/07/13
かいゆう
21
大谷吉継を描いた『白頭の人』を読み、ハンセン病を知りたいと思いました。私の中では、「癩病とも言う」「隔離施設がある」くらいで、詳しい事は何も知りませんでした。ただ隔離されていただけではない。どれだけの絶望を感じたことだろうか。負ってきた身体の痛みと心の痛みの大きさは計り知れない。『らい予防法』が廃止されたのは、1996年だという。最近の事なので驚いた。それなのにこの事実を知らなかったとは。ハンセン病は、感染しにくい病気で、治療薬もあり、治る病気である。隔離する必要はないのだ。2016/11/09
retro
3
ハンセン病が化学療法剤によって完治され、世界で制圧されつつある現代でも未だに残る差別は、これまでの人類の歴史の中に刻まれていたという。この本は、その重いテーマへの、アクセスしやすい入り口となっている。多様な人々がそれぞれの見かたで語るハンセン病とのかかわりあいが、カラー写真や色刷りページのレイアウトで記載されていて、雑誌のように読めてしまう。でも内容は非常に濃く、心打つものである。2016/03/05
ルキシュ
2
昨年位からハンセン病について知ってみたいと思っていて、ようやく本に巡り会いました。たまたま図書館で見つけ、読めそうなボリュームでした。写真も多く、分かりやすい内容でした。前半は結構気持ちが締め付けられるようにキツい内容で涙が出ました。全然知らずにいたのがショックでした。知るべきだと思いました。2016/07/08
海星梨
1
フォーラムのニュースからサイトを探し、そこに記載されていたこの本のことは留意していたのですが、図書館に入荷していたので即借りてきました。ハンセン病問題に取り組んだり、関わったりしている方たちのコラムは読みやすく、資料編ではだいたいの歴史が把握できますし、末尾のbook&movieで次に繋がります。 日本の差別だけではなく世界全体に触れているので、自分としては有り難かったです。2016/04/29