内容説明
本書は、毀誉褒貶に満ちたその多彩な断片をつなぎ合わせ、「ヘッケルという織物」の全体像を、可能なかぎり具体的に再現する試みでもある。
目次
第1部 生涯と一元論の構想(ヘッケルの生涯と一九世紀ドイツ―進化論との遭遇および一元論への開眼;一元論と『有機体の一般形態学』;資料篇 『有機体の一般形態学』の章立てと概要)
第2部 一元論のもたらしたもの―文化・社会への影響(魅惑的な生物発生原則;ミッシングリンクの夢―ガストレア、モネラ、ピテカントロプス;科学の自由について;ドイツ一元論者同盟と教会離脱運動;ヘッケルの人種主義と優生思想;エコロジーの誕生;プランクトン論争;自然の芸術形態;結晶の魂―結晶、ゼーレ、実体則)
著者等紹介
佐藤恵子[サトウケイコ]
1956年、東京生まれ。1978年、東京大学薬学部卒業、1989年、東京大学大学院人文科学研究科博士課程満期退学。現職、東海大学総合教育センター教授。専門領域は、科学思想史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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kiho
13
よく知らなかったヘッケルという学者が、ちょっぴり身近に感じられる⭐筋がしっかり通った人というか…すごい方だ♪2016/04/08
茶幸才斎
5
19世紀ドイツの生物学者、エルンスト・ヘッケルが到達した一元論思想、すなわち、ダーウィン進化論を理論的基礎として、無機物から単細胞生物、植物と動物、そして人間まで、万物は同じ物理化学的法則で説明可能とする考え方と、これに基づく彼の仮説やアイデアについて、またそれらが当時と今日の社会に与えた影響について、解説している。世界は算数と理科で説明できるから面白い。そして、算数と理科で説明できてない部分もあるから面白い。ちなみに、個体発生は系統発生を「繰り返し」はしない。一回だけ要約的にトレースするのみ、だと思う。2019/09/10
naoto
4
ヘッケルって名前は聞いたことあったけど…生物学の人って理解でいいのかな?ヨーロッパでキリスト教批判するなどなかなか骨っぽい人だったみたいだけど…まぁ、画期的新理論出す人はこうじゃないとね。「無機物も生きている」はかなりすごいぞ。2016/03/11
inenoha
4
エルンスト・ヘッケル(1834-1919)は多方面にわたる業績を残したドイツの動物学者にして哲学者であり,本書は彼の多くの側面すべてに光を当てた,日本語では初めての本である.第1部では彼の生涯と初期の代表作『有機体の一般形態学』(1866)が,第2部では生物発生原則やエコロジーの誕生など,個別のテーマが扱われる.科学の自由をめぐるフィルヒョウとの論争や,一元論運動についての記述はあっさりしすぎているのではないかとの感を抱くが,全体としては歴史的背景への目配せも十分であり,好著なのは疑いない.2015/10/09
numainu
3
評価B2017/03/03