内容説明
大学院で比較文学を学び、スウィフトの空想旅行記をめぐる学位論文を提出しながら、脱線と逸脱を重ねた著者がこの20年の間に執筆してきた、比較文学についての紙。映像、文学を中心に、アジア論、音楽、美術、漫画、料理などを対象に健筆を振るう批評家の初の比較文学論集。
目次
1 帰郷の苦悶
2 死の領分
3 変容する琵琶法師
4 パゾリーニ、封印を解く
5 怒りと響き
6 泉と同じ数だけの聖者
7 黒いホメロス、ホメロスの不在
8 書物の灰燼に抗して
著者等紹介
四方田犬彦[ヨモタイヌヒコ]
1953年西宮生まれ。東京大学文学部で宗教学を、同大学院で比較文学を学び、博士課程を修了する。スウィフトの『ガリヴァー旅行記』の分析である修士論文は、後に『空想旅行の修辞学』(七月堂、1996年)、として刊行された。ソウルの建国大学、コロンビア大学、ボローニャ大学、テルアヴィヴ大学などで客員教授・客員研究員を勤め、現在は東京の明治学院大学芸術学科教授として映画史の教鞭を執っている。映像と文学を中心に、アジア論、音楽、美術、漫画、料理などを対象として批評に健筆を振るう(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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青色
2
興味のあるところだけ。タイトルの意味はよくわかんないけどセンス良いな!と思って手に取ったんだけど、全体を通して著者の言葉のセンスが良いというか、文章が綺麗だと思った。最終章だけ読んだけど、「二通りの文学者がいる。秩序宇宙の創造者と、完成を欠いた星座を残す者のことだ」(313頁)のフレーズが文章としてすごく好き。綺麗。註や索引が充実しているのも良い。この分野、全然知らないけど面白そうなので関連のものを読んでみたい2017/07/07
かずしげ
0
まあもちろん一読ですべてを理解できたというつもりもないが、それでも、自分の興味の持てる範囲の部分だけをとってもなかなか面白かった。映像と文学、絵画や写真などさまざまな領域を横断しながら縦横に物語るその姿。2012/07/07
susie
0
造本もよいし、本文も読みやすく、人名索引もあるし、申し分のない、いい仕事だと思う。2011/07/27
丰
0
死の領分/Kの連鎖2011/07/25
askmt
0
演劇や映画を論評するというのは独特の世界を形成する。日頃あまりなじみがない領域であるためなかなか難しい部分もあったが、総じて非常に興味深かった。2018/09/22