内容説明
沖縄・慶良間諸島で何が起こったかを伝えたい!その思いに駆られたフォトジャーナリストが、極限の惨劇「集団自決」を体験した人たちをたずね、その貴重な証言を風貌・表情とともに伝える。
目次
渡嘉敷島(私たちは軍の命令で北山に集められた(吉川嘉勝さん)
住民に投降勧告をしに行った叔父は(池原利江子さん)
「則ちゃんは一人でいるから、早く逃げて…」(北村登美さん)
行方不明になっていた父に再会したとき(金城信子さん) ほか)
座間味島(校長先生、私たちを先にやってから死んでください(宮里哲夫さん)
体験は体験者の数だけあるんですよ(宮城恒彦さん)
「こんなに大きく育てたのにくやしい、ゴメンね」(宮平春子さん)
「どうしても、生き延びられないのか…」(宮村トキ子さん) ほか)
著者等紹介
森住卓[モリズミタカシ]
1951年、神奈川県生まれ。フォトジャーナリストとして基地、環境問題などを取材する。日本写真家協会(JPS)、日本ビジュアル・ジャーナリスト協会(JVJA)会員。1994年より世界の核実験被爆者を取材、旧ソ連セミパラチンスク核実験場の取材で週刊現代ドキュメント写真大賞を受賞。99年に出版の『セミパラチンスク』(高文研)で日本ジャーナリスト会議特別賞、平和・協同ジャーナリスト基金奨励賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
skunk_c
2
フォト・ジャーナリストによる聞き書き。2009年という、沖縄が教科書問題で揺れていた頃のもので、当然「軍の強制はなかった」に対する反論も多い。そして、曽野綾子が聞き取りをしていた1970年頃は、あまりに重く、語りたくなかったので「知らん」「分からん」と逃げていたが、それを「なかった」と曽野がしたことを許せないとの証言が胸を打つ。証言は凄惨を極め、本当に嫌な思いをした人間がそれを語ることの重さを感じた。そして「語り部」たちの穏やかな表情を写真で切り取った作者の眼のすばらしさ。2015/03/03
Yasuhisa Ogura
2
9月に軍命令による集団自決があったとされる座間味島を訪れることから、購読。本書は、集団自決を生き延びた島民の証言録である。証言者はすべて顔写真入りで紹介され、証言内容も具体的であり、リアリティーを強く感じた。証言に共通することは、日本軍の手榴弾により、特定の場所で、ほぼ同じ時刻に自決を試みているということである。軍命令を否定する説も主張されているが、何らかの命令無しに、このような事が行われるとは考えにくいと思った。2014/08/16
ミネチュ
0
渡嘉敷島、座間味島で起きた集団自決の体験者の証言をまとめたもの。 日本は本当にひどい国だった・・・ そして、それを今、正当化したり、国や軍に全く罪が無かったかのようなことを主張する人たちは本当に信じられない。 2017/08/27
星辺気楽
0
集団自決を経験した方々の生の声をできるだけ話し言葉で記述してあり、心情がよく伝わってきた。2014/01/19
はるなのメモ
0
2007/03/30に発表された2006年度高校教科書検定結果により、沖縄戦での集団自決(強制集団死)の証言活動が活発になる。本書は渡嘉敷島と座間味島での証言を記したものである。渡嘉敷島 金城重栄(兄)さんと重明(弟)さんは証言の密度差が大きく、話すことが出来る人とそうでない人のリアルな姿があると感じた。2021/03/26