内容説明
諭吉の里・中津に“居残って”しまった者の屈折は、環境を守ろうとする運動の中で解放され、「ビンボー暇あり」の境地へと至る。上野英信・晴子、伊藤ルイ、前田俊彦、緒形拳らとの出会いと深交。80年代から20年間のエッセイを集録。
目次
1 諭吉の里から(彼女の昭和史を共に辿る作業をして『ルイズ 父に貰いし名は』を書いて;冬の今宿海岸;“峠”に視座を据えて―井出孫六著『歴史紀行・峠をあるく』解説 ほか)
2 送る言葉(上野英信氏に学んだこと;原石貴重の剛直な意志;ツワブキの庭―筑豊の記録者上野英信氏逝きて五年 ほか)
3 少しビンボーになって競争社会から降りようよ(故郷を出ず;豆腐のご縁で;名を秘し続けた一市井人の反骨精神―田中伸尚著『反忠 神坂哲の72万字』書評 ほか)
著者等紹介
松下竜一[マツシタリュウイチ]
1937年2月15日、中津市に生まれる。10月、肺炎の高熱のため右目失明、多発性肺嚢胞症を発症。1956年3月、中津北高卒業。1968年12月、『豆腐屋の四季』自費出版。1970年作家宣言。1982年6月、『ルイズ―父に貰いし名は』で講談社ノンフィクション賞受賞。2004年6月17日、中津市の村上記念病院で、多発性肺嚢胞症による出血性ショックにより死去。67歳。この間、多くの裁判運動に関わる
新木安利[アラキヤストシ]
1949年、福岡県椎田町(現・築上町)生まれ。北九州大学文学部英文科卒業。現在、築上町図書館勤務。75年から『草の根通信』の発送手伝い
梶原得三郎[カジワラトクサブロウ]
1937年、大分県本耶馬渓町(現・中津市)生まれ。大分県立中津南高等学校卒業。住友金属小倉工場勤務。73年、環境権訴訟をすすめる会結成。豊前環境権訴訟原告。74年、豊前火力建設阻止行動で豊前海戦裁判被告。75年からさかな屋となり、92年、東九州女子短期大学学生寮の管理人となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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