内容説明
本書では、生命倫理学は何をどのようにする学問なのか、現状の中心的規範である「自己決定権」など、これまでの議論の限界をふまえ、自らの専門を足場に生命倫理学を率直に論じるとして編集されている。得意分野からの自由かつ個性的なアプローチを大事にするために、個々の執筆者の結論の方向性をひとつにまとめようとしたわけではない。生命倫理学に大きな期待を込めながら、現状の生命倫理学へ物申してみるという試みである。
目次
第1部 生命倫理規範をさぐる(科学/技術と人間の行方―生命と倫理の結合の可能性を考える;生物学の展開と生命倫理;生命倫理の方向性を求めて―神学的倫理学からの予備的考察)
第2部 生命倫理がたぐる社会政策(生命倫理における直観と論理―ヘアによる人工妊娠中絶問題への「黄金律論法」の適用とその問題点;生命倫理と権利概念―妊娠中絶の問題を手がかりに;共に生きるということ―生命倫理政策と立憲主義;生命倫理の社会制作原理―ルーマン派システム論の視点)
第3部 生命倫理学成立前夜―優生学の慢心と暴走(よい血統の者と生まれなかったほうがよかった者―米国優生政策の歴史;ナチス優生政策とキリスト教会―遺伝病子孫予防法(断種法)への対応
近代日本の優生思想と国家保健政策)
著者等紹介
山崎喜代子[ヤマザキキヨコ]
西南学院大学文学部社会福祉学科教授、生物学(動物発生学)
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