内容説明
約300年前に誕生したピアノはハイドン、ベートーヴェン、ショパン、リストなどの作品や演奏法にも影響を及ぼしながら変化をとげてきた。現代の黒くて重厚なピアノに至るまでの歴史を知ることによって、ピアノが本来もっていたはずの多彩な可能性が聴きとれるようになる。ピアノ愛好家、音楽史研究者、ピアニスト、必読の書。
目次
第1講 ピアノの誕生
第2講 ハイドンの奇想
第3講 ベートーヴェンのもう一つの顔
第4講 シューベルトの悩み
第5講 鍵盤の上のベルカント―ショパンとオペラ
第6講 ヴィルトゥオーソ狂詩曲!―社交界とオペラとサロンの一九世紀
第7講 一九二〇年代/ピアノの諸相
第8講 自動演奏ピアノ(ピアノ・ロボット)を巡って
付録
著者等紹介
伊東信宏[イトウノブヒロ]
1960年京都市生まれ。大阪大学文学部卒業、同大学院修了。ハンガリー国立リスト音楽院客員研究員、大阪教育大学助教授などを経て、2004年より大阪大学大学院文学研究科助教授。著書に『バルトーク』(中公新書、1997年、吉田秀和賞受賞)など。近年の研究テーマは、中東欧の楽師の音楽(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Christena
3
ピアノがピアノになるまでの歴史が、構造や演奏スタイルの説明もあり、わかりやすく解説されている。付属のCDで古楽器の音が少しだけど聞けるのも良かった。2014/05/17
Due destini
0
レクチャーコンサートの記録。7つのテーマからピアノの歴史を考察。通史ではない。クラヴィコードの仕組みを初めて理解した。2013/09/07
えぐざいる
0
ピアノ選びをしながらこの楽器が、思いもよらず人の手をかけて音を育てていく楽器だという事を認識させられました。本書はピアノフォルテという鍵盤楽器が製作者や作曲家たちの要望をこめて進化し、そして作曲家が各時代のこの楽器からインスピレーションを受けて曲を生み出していったか、ピアノという生き物と音楽を愛する人たちの交遊録ともなっています。2005年のレクチャーコンサートを下敷きに活字とCDで再構成したこの本は素人にも平易で編集の妙と学術書の可能性を感じました。とにかくピアノを叩いて音と触れ合いたくなります2011/01/29