感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
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鎌田哲哉の小林秀雄の「ドストエフスキー・ノート」の評論が面白かった。小林の奇妙に錯綜しているテクスト、ドストエフスキー・「ノート」をキルケゴールを導入することで、分裂しながらも共存すると様相として見てゆく。それは、ややもすればバフチンなんかを援用することですぐポリフォニーとか言って何かを言ってしまっている凡百な読み手たちと、小林との質的差異を吟味することでもある。テクスト自体の分裂を生きることに耐えられず、何らかの超越性(=理論)へと回帰してしまうことへの批判、要するにこれも鎌田による柄谷批判なのでは。2020/09/01
ミスター
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非政治的なポストモダンとして語られることの多い批評空間だが、個人的に本号でもそうだがただのマルクス主義雑誌だと思う。共同討議と大西巨人インタビューだけは読んだ。柄谷行人は何をいっているのかわからん。丹生谷・渡部は図式に頼りすぎ。わかるのは浅田彰・スガの発言ぐらいであった。漱石の『こころ』を政治からの挫折としてよみとこうとする柄谷行人は明らかに自らのブントからの挫折を投影しているだけなのではないか。2018/10/06