感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
原玉幸子
15
『「超」言葉狩り論争』と読む順番が逆になりましたが、漸く「筒井康隆（断筆宣言）問題」を契機にした一連の差別表現＆言葉狩りが何だったのかが分かりました（1994年の本書は私の大学時代の放送禁止用語を調べていた時には無かった出来事でした）。丸谷才一『女ざかり』とフェミニズム問題、中上健次の小説や金静美（キムチョンミ）による部落解放同盟批判他を知ると、「天皇制は政治的概念である」と嘯く私の知識は、言葉の扱いに責任を持つ＝思想との観点から言えば、無責任との誹りは免れない勉強不足の一言。（◎2021年・冬）2021/11/20
Z
8
94年出版。筒井康隆の小説の差別的な表現が問題になった事件を契機に、当問題やフェミニズム、被差別部落、植民地問題など差別に関する問題を取り上げた論考、対談集。著者の言うように差別問題は個々具体的に対応すべきで纏めるのは難しいうえに、普通は「差別はいけない」など、恥ずかしいほど凡庸であるが実行されていないことを書かなくてはいけないのだが、それに止まらないのが著者の批評眼。標語的に纏めるなら差別問題の中で差異を見失うなということになるだろうか。言葉をしゃべるものが、代理表象する ものからの自立である。2022/09/09
ミスター
6
絓秀実のテキストの中ではスリリングな方ではないが、彼の著作の中でも今日読まれるべき書物だと思う。主張は大きく分けて二つ。筒井断筆宣言に対する批判から遡行して出てきた問題。一つは「言論の自由」という大文字の言葉を振り回す前に現場の編集者とちゃんと闘争したのかということ。現在フェミニズムやポリコレを批判する際に逆差別だと訴えている連中にも当てはまる話であるそんなデカイ話にする必要はないわけで、フェミニストが女が嫌ならば、その場でその女と戦えば良い話である。それができない連中が観念へと逃げ込むのだろう。2018/08/07
；
4
俗情と結託せずに、絶対的な差異に触れること。イメージ批判としての差別批判。繊細にして野蛮な「言葉狩り」のために。2017/04/29
2
金静美との対談は素晴らしいが、今のスガはどう思っているのかねえ。2017/12/03
