火花―北条民雄の生涯

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火花―北条民雄の生涯

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  • サイズ B6判/ページ数 398p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784870313736
  • NDC分類 910.268
  • Cコード C0095

内容説明

ハンセン病と闘いながら、名作『いのちの初夜』を著し、二十三歳の命を燃やし尽くして逝った天才作家、北条民雄―。その極限の生命の姿を描く著者会心のノンフィクション。

目次

序章 ある回想
第1章 まぼろしの故郷
第2章 破婚
第3章 全生病院
第4章 わが師・川端康成
第5章 作家誕生
第6章 生きいそぐ青春
第7章 いのちの初夜
第8章 放浪と死と
第9章 転生の秋
第10章 遙かなる帰郷
第11章 二十三歳で死す
終章 ふたたびの回想

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

きいち

32
「書くこと」の威力。◇北条が書くことができたのは、書こうという意思を、川端康成への直接アプローチというリスクテイキングな行動に出たことが決め手。無視され自らが傷つくことを怖れず…。癩を書くのではなく、癩体験の意味を問い生命そのものを書こうとした北条だからこそ。◇それはきっと、療養院内の他の患者たちにとって、イタい行動だったに違いない。院内文芸誌の編集長として入院者の心を支えた麓。そして二人の親友、作文教育へ向かった光岡に結婚を選んだ東條…。いい悪いじゃない。それぞれ、高山は丁寧に発掘してきてくれる。絶品。2016/01/24

かやは

10
癩者の作家、北条民雄の生涯を綴った一冊。彼の作品も人生ももっと多くの人に知って欲しい。アニメ映画化して、世界に発信できないものかな。民雄の想いは、時流良く川端康成という文豪に届いた。川端康成との関わりを通じて、当時の文壇の様子も語られている。大半の病が不治であった時代から実は百年も経っていない。病を患う者を見る機会がない現代だったが、その認識もコロナ禍で大分変わっただろう。近代国家の体裁を作るために隠された浮浪者たち。その延長線上に癩者の隔離政策があった。海外からの外圧によってしか日本という国は動かない。2023/02/18

くれの

4
業障に懊悩する自身を昇華させようと身体の衰弱を惜しみつつ煩悩を絶たんと文筆に魂魄を刻み一瞬の閃光を放つ彼の姿に圧倒されました。戦前の文壇にあって謂れ無き残酷な差別を被ったらい病患者の苦悩の別の側面を知りました。2014/07/13

つちのこ

3
北条民雄の『いのちの初夜』を読んだのは、にきびだらけの高校生ぐらいの頃だったから、もう随分と昔になってしまった。癩病の存在を知ったのもおそらくそれからだと思う。 『火花』は23才で夭折した癩作家北条民雄の生死を師・川端康成の往復書簡、同病の友人たちの回想などからまとめられている。北条が死の直前、友人の光岡良治に贈った本の表紙の裏に「人生は暗い。だが、たたかう火花が、一瞬黒闇を照らすこともあるのだ。」とある。⇒ 2000/02/03

Shoko Chiba

2
中上健次を扱ったエレクトラを読み、同じ筆者の本書を購入した。前書では筆者の仕事の完成度の高さに尊敬の念を抱いたが、本書を読んで、一つの作品の完成度以前に、物事に対する姿勢の美しさ、熱さに、惚れぼれした。あとがきも素敵。2016/01/28

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