目次
第1章 ゲールの成立と展開(伝承と巡礼;1797年以前の家庭看護の制度;ゲールと精神医療の近代化;19~20世紀に寄せられた国際的関心)
第2章 見学されるゲール(ゲール・コロニーの見学者名簿;ドイツにおける精神科家庭看護の盛衰史;ゲール見学者とドイツの精神医療;ゲール見学者とオーストリアの精神医療;ゲール見学者と北米の精神医療;精神科医バークレー=ヒルと英国植民地インド)
第3章 ゲールと京都・岩倉―日本の文脈(つくられた「岩倉」像;戦前の岩倉における―保養所の宿泊者の動向;「日本のゲール」再考;岩倉をめぐる新たな解釈)
第4章 戦後の展開(第二次世界大戦以降のゲールおよび家庭看護;ゲール・ファミリー・ケア・リサーチ・プロジェクト(1966~75)
ゲールの歴史と伝統を継承するプロジェクト)
著者等紹介
橋本明[ハシモトアキラ]
愛知県立大学教育福祉学部教授。1961年、静岡県に生まれる。東京大学理学部卒業、東京大学大学院医学系研究科博士課程中退。博士(医学・東京大学)。専門は精神医療史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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nranjen
3
図書館本。ベルギーの小さな街ゲールは、精神病の守護聖人聖ディンプナの街で、15世紀からすでに精神病患者を受け入れていた。治療は教会付属施設のみならず、周辺住民の里親制度を含む「家庭看護」によって行われていた。20世紀初頭には注目を集めたこの街の治療のあり方を、日本との関わりも含め論じている。フーコーの『狂気の歴史』にもこの街が触れられているそうだけれど、この街全体の主体的な治療への取り組みは明らかにされていないらしい。非常に興味深い本。google mapにはヘールとある。アントワープの近くの街。2021/03/07