内容説明
生殖医療の発展は、多くの人に福音をもたらす一方で、大きな苦悩をもまた生み出している。「妊娠葛藤相談」が法制度として整備され、社会に深く根付いているドイツの現状、制度とその経緯から、妊娠中絶や出生前診断、生殖医療などにおける相談(カウンセリング)の重要性を提示し、人間の生命の誕生をめぐる「葛藤」の問題を倫理学的に考察する。
目次
第1部 妊娠中絶(「妊娠葛藤」とは何か―生命尊重と女性の人生をめぐる闘争;ドイツにおける「妊娠葛藤相談」について―義務づけられた相談をめぐる諸問題;日本における妊娠相談とその問題点;世界における妊娠中絶)
第2部 生殖医療と出生前・着床前診断(代理出産;不妊に関わる医療と相談;「新型出生前診断」をめぐるドイツの生命政策―ドイツ倫理評議会答申(2013年)と妊娠葛藤法改正(2009年)
着床前診断をめぐるドイツの論争―2011年のドイツ倫理評議会答申を中心に)
著者等紹介
小椋宗一郎[オグラソウイチロウ]
1973年生。2001年静岡大学人文社会学研究科比較地域文化専攻修了、修士(文学)。2003‐2005年ドイツ、ルール大学ヘーゲル文庫(Ruhr Universit¨at,Hegel Archiv)留学(聴講生Gasth¨orer)後、一橋大学社会学研究科博士後期課程総合社会専攻修了、博(社会学)。2009年より東京大学人文社会系研究科G‐COE「死生学の展開と組織化」特任研究員(2012年3月まで)、2013年東海学院大学人間関係学部心理学科准教授(2015年4月より教授)。専門:生命倫理、倫理学、哲学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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