出版社内容情報
施設での暮らしを経験した障害のある人たちとその家族など様々な人たちの語りから、施設という場で生成される関係の多様性を探る。「施設」とは単なる物理的な構造物ではない
ある時は、親にとっての最も望ましい選択肢として語られ、ある時は、自ら障害のある人たちにとっての「施設に入る/施設で暮らす/施設を出る」という「人生そのもの」に関する問題として語られる、「施設」。
施設での暮らしを経験した障害のある人たちとその家族、そこで働く人たちやさまざまな立場の支援者といった人たちの語りから、施設という場において生成される関係の多様性を探る。
序章 研究の目的
1 問題の所在
2 パーソナル・アシスタンスの定義と自己決定
3 原則としての「当事者主権」
4 ニーズ把握における「ずれ」
5 全体の構成
6 調査概要
付記 研究倫理への配慮について
初出一覧
第1章 無力化の構造――理論的概観
1 社会モデルの登場
2 施設の社会史
3 個人主義の二面性
4 逸脱者としてのアイデンティティ
5 抑圧の広範性と周縁化
6 周縁化としてのパーソン論
7 小括
第2章 語られる施設化
1 脱私化のメカニズム
2 日本における知的障害者に対する施設福祉政策
3 「他者」としての障害者
4 自己を定義づける専門家の登場――「普通の子」から「障害者」へ
5 「障害者」カテゴリーの拡大
6 「障害者」としての私と家族――私的領域の再解釈
7 施設化の意味
8 小括
第3章 知的障害者の家族のアイデンティティ形成についての考察
1 子どもの施設入所までのプロセスの語り
2 リアリティ・ショック
3 疎外されていく
4 対抗する――再秩序化・障害児の親というアイデンティティ
5 親亡き後への不安――物語の終わりとしての施設入所
6 「成人期」というモデル・ストーリーの不在
7 小括
第4章 施設を出るという経験
1 脱施設化の動きの背景
2 日本における脱施設化とインスティテューショナリズムの問題
3 施設での経験
4 小括
第5章 施設利用者と職員の相互行為
1 療護施設の制度化の経緯
2 二つの療護施設の概要
3 施設での暮らし
4 身体のコントロール――介助のされ方を選ぶ
5 居たいところにいる/行きたいところに行く
6 生活のスケジュール化
7 静けさ
8 小括
第6章 イギリスにおける障害者支援の個別化
1 パーソナライゼーションの推進
2 障害者運動の到達点としてのダイレクト・ペイメント
3 政治的背景
4 ダイレクト・ペイメントからパーソナル・バジェットへの改良
5 イン・コントロールの貢献
6 パーソナル・ヘルス・バジェットの導入
7 パーソナライゼーションの矛盾と限界
8 ケアワーカーとの関係――フェミニズムとの葛藤
9 小括
第7章 個別化がもたらしたもの――支援者、家族が語る生活の変化
1 ケア関係はどのように変化したのか
2 支援者の経験
3 家族のエンパワメント
4 生活の質的な変化
5 小括
第8章 エンパワメントの基盤――支援を受けた自己決定の確立へ向けて
1 意思主義と保護
2 成年後見制度の問題
3 日本における障害者ケアマネジメントの導入と限界
4 小括
終章
1 各章における考察と結論
2 結論
終わりに
調査協力者一覧/文献一覧
麦倉泰子[ムギクラ ヤスコ]
著・文・その他
内容説明
ある時は、親にとっての最も望ましい選択肢として語られ、ある時は、自ら障害のある人たちにとっての「施設に入る/施設で暮らす/施設を出る」という「人生そのもの」に関する問題として語られる、「施設」。施設での暮らしを経験した障害のある人たちとその家族、そこで働く人たちやさまざまな立場の支援者といった人たちの語りから、施設という場において生成される関係の多様性を探る。
目次
序章 研究の目的
第1章 無力化の構造―理論的概観
第2章 語られる施設化
第3章 知的障害者の家族のアイデンティティ形成についての考察
第4章 施設を出るという経験
第5章 施設利用者と職員の相互行為
第6章 イギリスにおける障害者支援の個別化
第7章 個別化がもたらしたもの―支援者、家族が語る生活の変化
第8章 エンパワメントの基盤―支援を受けた自己決定の確立へ向けて
著者等紹介
麦倉泰子[ムギクラヤスコ]
1974年生まれ。2004年早稲田大学大学院文学研究科社会学専攻博士後期課程満期退学後、立教大学コミュニティ福祉学部助手、関東学院大学文学部専任講師を経て2008年同大学文学部准教授。学部改組により2015年より同大学社会学部准教授。現在関東学院大学社会学部教授。博士(文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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