内容説明
「日本では日本語で」という意識、「聞こえないよりは聞こえたほうがよい」という価値観そのものを問い直す!ろう文化宣言から龍の子学園、そして明晴学園へ。日本手話と日本語の読み書きによるバイリンガルろう教育の展開をその前史から現在まで詳述。言語権を議論の軸にすえ、日本手話によるろう教育を一つの選択肢としてひろげることだけでなく、多言語社会日本のありかた自体を問い直すことを目指した必読の書。
目次
第1章 日本のろう教育は手話をどのように位置づけてきたか
第2章 日本手話によるろう教育をめざして1―フリースクール「龍の子学園」開校前史
第3章 日本手話によるろう教育をめざして2―フリースクール「龍の子学園」開校とその展開
第4章 学校法人「明晴学園」の設立とその特色
第5章 日本手話によるろう教育に立ちはだかるもの―聴能主義
第6章 バイリンガルろう教育の再検討―日本語能力主義をこえて
著者等紹介
クァクジョンナン[クァクジョンナン]
韓国テジョン市在住。2016年に立命館大学大学院先端総合学術研究科の博士程を修了(学術博士)。2014年に立命館大学衣笠綜合研究機構の専門研究員(生存学研究センター所属)として勤務。現在、韓国のペクソク大学非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ドシル
7
発売になりすぐ購入したのに読むのが遅くなってしまいようやく読了。 著者が日本の大学院で書いた博士論文がベースになっている。 明晴学園ができた経緯は有名なのでわたしも知っていたが、その前身である龍の子学園設立の経緯や当時の様子は初めて知ることも多かった。 日本のろう教育は遠い昔から、日本語習得と発音することに重きを置いて今日まで流れている。 外国人が日本語を少し話せると褒められるし、書けると驚かれるがろう者は耳が聞こえなくても日本語がネイティヴなみにできて当たり前だと思われる。そこが悩ましい。2017/05/30
ささ
1
著者は韓国人で、韓国よりも施設の揃った日本から良いところを学ぼうと渡ってきたが、調査して行ったら制度的にはそんなことなかったよということですかね。 外国人から見た日本の口語言語と手話言語、「日本語対応手話」と「日本手話」。この軋轢について綿密に調査し、示唆に富んでいる。 正直、私には情報量が多くて半分も理解できたかわからない。2017/08/06