内容説明
色覚少数者の名状しがたい生きづらさは何に起因するのか!制度的な差別が撤廃されたかと思えば非言及と無顧慮が支配し、その反動で再び当事者の自覚の必要が強調される…。相互行為論の観点から、色覚と社会について書かれてきたものを読み解き、いかにして当事者の言葉が失効させられ、どこにオルタナティブの芽が出ていたのかを探る渾身の書。
目次
序章 理論ノーツ:相互行為論と障害学
第1章 他者化と自己疎外
第2章 「パイプのけむり」の三つのエッセイ
第3章 色盲検査表を読む:色弱者はいかにして信頼を奪われたか
第4章 善意の思想像
終章 応答性:声と耳と自己と
著者等紹介
徳川直人[トクガワナオヒト]
社会学者。東北大学准教授。1961年生まれ。1990年、東北大学文学研究科博士課程(社会学専攻)単位取得退学。1990年、北海道教育大学助手(教育学部釧路校)に着任。以後、講師、助教授。1998年、東北大学助教授(大学院情報科学研究科)に転任。2006年、東北大学から学位取得(文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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よしひろ
12
色覚の人が困らないような社会。様々な色覚の検査方法。色覚の人が物をどう認識し、それに法や社会制度がどのように対応し、当人が生活しやすい社会を構築していくか。そこに人類の知性が試されている。2016/03/19
まあい
1
これは本当に名著。「はしがき」だけでもいいから読んでほしい。既存の枠組みでは自身の経験を語りきれず、問題提起も理解されない、そんな「語りづらさ」を徹底的に掘り下げる一冊。著者自身が色覚少数者であることから、歴史的文献だけでなく著者自身の経験なども語られつつ、社会学における相互作用論(とりわけミード)を踏まえて射程の広い問題提起が展開される。もっと多くの人に読まれるべき名著である。2019/10/23
海戸 波斗
1
色覚って今はやりの発達障害に似てるなと思い追いかけているんだが、日本は昔から少数派切り捨て傾向にあるのかな。少ないけど確実にいるんだけどな自分と違う人を下に見ることによって生きやすくなるんだな。暗殺教室の中高一貫校もそういってるし必要悪なのかもな。殺先生、助けてください!2016/04/05