内容説明
人間は“言葉を操る動物”なのだが、刺激力と流通力を持つ言葉の海で、“言葉に操られる動物”となって溺死する例があまりにも多い―言語動物の「実存」、「実践」そして「解釈」。
目次
保守―「保守するための改革」
伝統―「良き言葉づかい」が「歴史の英知」
変化―天命なき変革は単なる破壊
地域―地方分権ではなく地域自律を
国家象徴―元号の歴史的意味と皇室の社会的意義
欲望―「絵画の本質は額縁にあり」
国家―「国民とその政府」
理性―「狂人とは理性以外のすべてを失った人のこと」
大衆―巨人化する大量人と小人化する通常人
法―国際社会における力の論理〔ほか〕
著者等紹介
西部邁[ニシベススム]
1939年北海道生まれ。東京大学卒業。88年に東京大学教養学部教授を辞し、現在、評論家。『経済倫理学序説』(83年、吉野作造賞)、『生まじめな戯れ 価値相対主義との闘い』(84年、サントリー学芸賞)、『サンチョ・キホーテ』の旅(09年、芸術選奨文部科学大臣賞)など著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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station to station
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2000年代中頃から2013年にかけて雑誌「表現者」に連載された発言集。人間を「言語的動物」とみる著者だけあって、その時々の政治や社会、経済などの動向、情勢を考える上で鍵となる考え方や言葉について、その語源にまで遡ることで本質的な問題を明らかにしていく。国内外の政治的な議論から日常的な会話にいたるまで、戦後の日本でどれほど言葉が乱れ、またそれによって思考も乱れてきたのか、深く反省せざるを得ない。2019/11/22
wanted-wombat
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大衆が革新を望む世の中であるから、昨今では「保守」という言葉はブーワード(非難語)として用いられることが多い。だが、そんな言葉に操られた人々に待ったをかける著である。著者は保守の立場であるようだが、ブーワード的な立場ではない。保守- 革新という二元論を批判し、保守にも革新があるという。つまり、保守主義が保守するのは「現状」ではなく「伝統」であるためだ。だからこそ、著者はブーワード的な保守思想を批判する、先程の二元論で言えば革新の立場をとる。言葉と現状に対し真摯に向き合う、良著であった。2013/07/11
G
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良い!!「平衡」こそ正統であり、常識であり、言語である2022/01/31