内容説明
漫画から絵本そして純文学―時代と世代、性別をこえてつながる新しい読書のかたち。
目次
1章 ぶつかりあう出逢い
2章 気づく瞬間
3章 そっと近づいてみると
4章 くつろぐ部屋
5章 ふりかえる瞬間
6章 好きになりすぎる
著者等紹介
長嶋有[ナガシマユウ]
1972年生まれ。2001年に「サイドカーに犬」で第九二回文學界新人賞、02年に「猛スピードで母は」で第一二六回芥川賞、07年に『夕子ちゃんの近道』で第一回大江健三郎賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ホークス
37
2013年刊。長嶋氏はブルボン小林名義の漫画やゲーム評が面白い。この書評集も強烈。苦手な小説中心なので飛ばし読む。中村航『夏休み』の人達は、耽溺できず常に「そうしてみている」。夏休みも二学期が気になり、必死で満喫「をしている」。切実感が薄いのは、対立を恐れて年長者や強迫者に心が依存しているからだろう、と空気や世間の苦手な私は思う。宮崎誉子『世界の終わり』では、同世代の「根拠のない楽観と期待の薄さ」を指摘する。世界の見え方は様々だからこそ楽しい。痺れた言葉は「麻雀はしなくていい、でも『麻雀放浪記』は読め!」2021/12/12
おさむ
37
同世代の長嶋さんの書評集。書評って、それを読んでどれだけ本を読みたくなるかというのと、書評書いた人の個性を楽しむのと、2種類ありますが、今作は後者ですね。いつもの肩に力のまったく入らない軽さは健在。筒井康隆と阿佐田哲也(色川武大)へのリスペクトは私も同じで、共感しました。2016/01/16
りつこ
25
本について書かれた本が好きだが、とりわけ好きなのは作家が書いた書評。書く側の視点から書かれた書評というのはとても新鮮だし、単なる本の紹介に留まらず作家の思想やこだわりが垣間見られてとても興味深い。エッセイを読むと本能の人のような印象を受けるけれど、いやいやどうして…書きたいことをちゃんと持っていてきちんとした手法をもって作品を書いている作家さんなのだなとしみじみ思う。既読の本はそういう読み方ができるのか!と驚き、未読の本は読みたくなる楽しい書評。2013/05/08
阿部義彦
22
ずっと心の端で気になっていた、幻戯(げんき)書房の本をやっと手に入れる事が出来ました。古書市にて。内容は長嶋有さんの書評や他人の本の後書き、はたまた選考委員として行った群像文学新人賞の選考評、そして本にまつわる雑多なエッセイ等が、並べられています。長嶋有さんと言うと別名のブルボン小林名義でのマンガ評が有名ですが、勿論漫画に関するものも含んでいます。作家では特に佐野洋子さんと筒井康隆さんに思い入れが強いようです。そのほか柴崎友香さん山崎ナオコーラさん穂村弘さんなど、いかにもな人選です。絵本にも言及。2024/02/10
風眠
19
小説、ゲーム本、絵本、漫画、エッセイ、俳句などなど、さまざまなジャンルの本に寄せた書評集。親しい作家たちとの交流の様子が垣間見れたりして楽しい。堅い文体の中に時々クスっと潜んでいる笑いとか、本当に本が好きなんだなぁ・・・と思わせる本への愛とか、なんかそういうのが沢山つまってる。クローズアップ→引き→俯瞰みたいな、映画の手法にたとえた文章の読み込み方とか、なるほどこういう読み方があるのかと、今更ながら目からウロコだった。これからの本の読み方が変わりそうな一冊。そして、読みたい本がまた増えてしまった・・・。2013/08/08