出版社内容情報
目次
俳句 句集『天來の獨樂』より
板柳訪問
永山則夫著『木橋』書評
作家の誕生 ― 永山則夫論
大波小波「推薦理由」
大波小波「永山則夫さんへ」
大波小波「著作の運命」
大波小波「善人とボケ」
非凡な覚醒
「文学のふるさと」とは 日本文芸家協会脱退の弁
永山則夫著『異水』書評
永山則夫死刑執行に思う
永山則夫著『華 Ⅰ・Ⅱ』書評
永山則夫の言葉 ―『華』解説
永山則夫の「歌の別れ」―河出文庫『人民を忘れたカナリアたち』解説
貧しい者の「事実」―『死刑確定直前獄中日記』解説
人を殺す少年たちの言葉
内部の人間/外部の人間 ― 秋山駿著『内部の人間の犯罪』解説
永山則夫と小説の力 ―「連続射殺魔」事件
「新宿ノート」のこと
テキスト・クリティーク「せめて二十歳のその日まで」
解説 鈴木比佐雄
あとがき ― 永山則夫と私
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
田中峰和
5
4人殺害の犯行時19歳だったことで、以降の少年犯罪量刑の基準とされた永山事件。極貧で悲惨な生育環境に同情の余地はあるが、タクシー運転手を2人も射殺した計画的で残忍な犯行には死刑判決もやむなしの意見が多かった。「無知の涙」の副題は「金の卵たる中卒者諸君に捧ぐ」だったが、71年の出版時には既に中卒者は金の卵ではなくなっていた。また彼が真理に目覚めたとされるマルクス主義思想は衰退し、全共闘世代も転向していた。だが、彼が獄中ノートを活用して漢字の習得に勤しみ、幼少期の遅れを必死に取り戻そうとした姿を誰も笑えない。2017/11/20
hiratax
0
今年2017年は、永山則夫の死刑執行から20年にあたる。永山論を多くつむいできた著者の文集。既読のものも多いが、東京新聞の匿名コラムも収録されている。「華」の中断は、どこに着地したのか。さらにどこかへ消えてしまった日記の行方も気になる。2017/12/11