出版社内容情報
世界記憶遺産に登録された
炭坑絵師の実像に迫る
筑豊炭坑の盛衰を縦軸に、子どもの頃から半世紀を炭坑で過した作兵衛の記憶を横軸に……著者が直接、盃を交わしながら聞いた作兵衛の肉声を伝える確かな記録! 歴史の闇に消えた筑豊炭坑が、絵師・山本作兵衛の驚くべき記憶力と、温かい絵筆でみごとに再現される。世界記憶遺産登録への経緯も紹介。
宮田 昭[ミヤタ アキラ]
元朝日新聞筑豊支局(1978年12月~1980年7月)
著書 『最後の川筋頭領 坂田九十百伝』(葦書房)
『筑豊一代 炭坑王 伊藤傳右衛門』『炭鉱最後の田川市長 坂田九十百という男』(書肆侃侃房)
内容説明
今、生き生きと甦る筑豊炭坑のくらし。歴史の闇に消えた筑豊炭坑が、絵師・山本作兵衛の驚くべき記憶力と、温かい絵筆でみごとに再現される。筑豊炭坑の盛衰を縦軸に、子どもの頃から半世紀を炭坑で過した作兵衛の記憶を横軸に…著者が直接、盃を交わしながら聞いた作兵衛の肉声を伝える確かな記録!世界記憶遺産登録への経緯も紹介。
目次
七つ八つから
腕が鳴る
激動
破滅
記録
大往生
著者等紹介
宮田昭[ミヤタアキラ]
元朝日新聞筑豊支局長(1978年12月~1980年7月)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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oldman獺祭魚翁
31
山本作兵衛、この名前を知らなくても作兵衛翁の絵を目にされた人は多いのではないだろうか? 決して上手いとは言えない、どちらかと言えば稚拙な絵だが、一度見たら忘れられない強烈なインパクトを持った炭鉱の絵だ。翁は画家ではない。明治・大正・昭和と日本近代化の礎となった炭鉱で子供の頃から鉱夫として働き、その記憶を自ら子や孫に遺すために描かれた絵だからだ。翁はその驚異的な記憶力と正確な描写力で生涯千枚を越す絵を遺され、世界記憶遺産日本第一号に登録された。これは、作兵衛翁の伝記であり、明治後期からの筑豊炭鉱史だ。2016/10/22
チェアー
10
鉱山での仕事や暮らしは知らないことばかりだった。特に女性が男性と対になって働いていたことはまったく知らなかった。作兵衛さんの絵は確かにうまくはない。しかし、それだからこそ本当の歴史や空気や何とも言えない温度が伝わってくる。その小さなひとつひとつの積み重ねが日本の歴史を作ってきたのだ。2016/10/13