出版社内容情報
京都大学は研究者の盗掘による琉球人遺骨を収蔵している。編著者らは2018年12月、遺骨を琉球に返還するよう京都大学を提訴した。遺骨を大学が所蔵し研究利用する犯罪性を問う。琉球民族遺骨返還問題の初の書。墳墓発掘、遺骨領有は、戦前も戦後も刑法犯罪。人類学者らは琉球、アイヌモシリ、台湾、朝鮮で墓を無断で暴き、骨と埋葬品を持ち去った。大学に所蔵された人骨標本は、今日のDNA 研究に至るまで多くの論文と研究資金の源となってきた。日本の学知の根底にある民族差別と植民地主義を問う。
序言 東アジアにおける琉球人・アイヌ遺骨問題 鳩山友紀夫
はじめに 松島泰勝
? 琉球の遺骨返還問題
第1章 琉球人遺骨問題と自己決定権 宮城隆尋
コラム 琉球人の骨神と霊魂観、生死観 高良 勉
第2章 形質人類学と植民地主義との歴史的関係と今日的課題――金関丈夫「人種学」を中心にして 松島泰勝
コラム 百按司墓と植民地主義 与那嶺義雄
第3章 研究のおぞましさについて 冨山一郎
コラム 源氏系統と百按司系統――日琉同祖論と英雄シャクシャイン 与那嶺功
? アイヌの遺骨返還問題
第4章 アイヌ遺骨返還運動とDNA研究 植木哲也
コラム 私たちのご先祖様のお墓、盗掘遺骨を返してください 浦川早苗
第5章 問われる日本人の歴史認識と先住民族アイヌの権利回復――アイヌ新法に先住権の明記を! 出原昌志
コラム 土地を奪われ、遺骨を奪われて一五〇年 木村二三夫
第6章 ドイツから「移管」されたあるアイヌの遺骨と脱植民地化 小田博志
コラム アイヌ遺骨返還の闘い 小川隆吉
? 植民地主義と学問の暴力
第7章 連載「帝国の骨」の取材から――京都帝国大の系譜 岡本晃明
コラム 植民地主義未清算の不作為 白鳥龍也
第8章 植民地主義と学知の調査暴力――「オキナワ」を返せ、琉球人遺骨を帰せ! 佐藤幸男
コラム 琉球・沖縄人から日本人へ 当真嗣清
第9章 学問という名の暴力――遺骨返還問題に見る植民地主義 前田 朗
コラム 旧帝国大学による琉球人遺骨の未返還問題についての私見 具志堅隆松
第10章 日本の植民地主義とアイヌ・琉球(沖縄)・奄美の遺骨問題 木村 朗
第11章 京都大学に対する奄美人遺骨返還運動 大津幸夫
コラム 「知と骨」のソナタ 原井一郎
第12章 なお遠い「知」の植民地清算―現在の朝鮮人の遺骨奉還の取り組みにもふれて 川瀬俊治
? 京都大学を訴える
第13章 ウヤファーフジ(先祖)の遺骨を返せ 照屋寛徳
第14章 問題解決のための今後の展望 松島泰勝
第15章 原告の訴え ご先祖のマブイに平安を 子孫としての切なる願い 亀谷正子
第16章 百按司墓の盗掘と植民地主義 丹羽雅雄
琉球人・アイヌ遺骨返還問題にみる植民地主義に抗議する声明文
おわりに 松島泰勝
琉球民族遺骨返還請求訴訟支援全国連絡会のご案内
関連年表
松島泰勝[マツシマ ヤスカツ]
著・文・その他/編集
木村 朗[キムラ アキラ]
著・文・その他/編集
内容説明
墳墓発掘・遺骨領有は、戦前も戦後も刑法犯罪である。人類学者らは琉球、アイヌモシリ、台湾、朝鮮他で墓を無断で暴き、骨と埋葬品を持ち去った。大学に所蔵された人骨標本は、今日のDNA研究に至るまで多くの論文と研究資金の源となってきた。日本の学知の根底にある民族差別と植民地主義を問う。
目次
1 琉球の遺骨返還問題(琉球人遺骨問題と自己決定権;形質人類学と植民地主義との歴史的関係と今日的課題―金関丈夫「人種学」を中心にして ほか)
2 アイヌの遺骨返還問題(アイヌ遺骨返還運動とDNA研究;問われる日本人の歴史認識と先住民族アイヌの権利回復―アイヌ新法に先住権の明記を! ほか)
3 植民地主義と学問の暴力(連載「帝国の骨」の取材から―京都帝国大の系譜;植民地主義と学知の調査暴力―「オキナワ」を返せ、琉球人遺骨を帰せ! ほか)
4 京都大学を訴える(ウヤファーフジ(先祖)の遺骨を返せ
問題解決のための今後の展望 ほか)
著者等紹介
松島泰勝[マツシマヤスカツ]
1963年琉球・石垣島生まれ。在ハガッニャ(グアム)日本国総領事館と在パラオ日本国大使館の専門調査員等を経て、龍谷大学教授。琉球民族遺骨返還請求訴訟原告団長。琉球民族遺骨返還研究会代表
木村朗[キムラアキラ]
1954年北九州市小倉生まれ。鹿児島大学教員、平和学専攻。東アジア共同体・沖縄(琉球)研究会共同代表、日本平和学会理事(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。