目次
1 ホッピー大衆化の歴史的背景―戦後日本における飲酒文化の変容
2 ホッピーが醸し出すノスタルジア―「昭和」から感じるなつかしさ
3 ホッピーをめぐる豊かな「物語」―ヘルシズム社会における酒の語られ方
4 東京下町の男たちの“酒”から若者や女性も楽しめる“酒”へ―メディアが創出するホッピー・イメージの変遷
5 浅草で正しくホッピーを飲む方法―下町と居酒屋の再想像
6 孤高の「酒」ホッピー―あるいはホッピーの文化人類学
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
keroppi
24
ホッピーのスッキリした味わいと何とも言えない世界観が好きで、時々飲んでいます。そのホッピーを文化人類学的に、歴史的に、分析し論じている。深いなぁ。決してホッピーの広報誌ではない。だって、美味しくないなんて書いてあるんだもの。でも、ホッピーへの愛に溢れていると思う。あー、ホッピー飲みてえなぁ。2017/03/12
Hiroshi
8
文化人類学者等の若手が「なぜホッピーは21世紀、平成の世にリバイバルを遂げることができたのか」と第3次ホッピーブームの原因を探った本。ホッピーとは、本物のホップを使ったノンアルコールビール。酒税の安い焼酎の割り飲料として使われ、ビールの代用品として安く飲めると戦後下町などで流行った。学者達は、飲酒文化の変容・昭和ブーム・健康志向・メディア戦略・下町観光などから探る。私は、サワー等焼酎で割った飲料が増え、発泡酒・第三のビール等の酒の種類が増えたことによって、人々のホッピーへの抵抗感が薄くなったからだと思う。2016/10/10
スプリント
7
いまは当たり前に飲んでいますが未成年の頃はホッピーにあこがれていましたね。ネーミングからして美味しそうですよね。 ホッピーのウンチクを知りたい人に最適な内容となっています。2016/12/24
西澤 隆
6
僕よりもひとまわり年下の研究者たちの「ホッピーになぜ『!』を感じるのか」の研究は、歴史的経緯や文化の変遷、地域特性などをおおまじめに当たり分析したもの。そして収録されたものは「論文」の形式を取っているのだが参考文献として往年の酒エッセイや入門書が大量紹介、古い雑誌の今となっては懐かしい言い回しなどにも出会えてなんだかホッピーをめぐる読書ガイドの顔も。専門家が興味のある分野の専門書を読むときの派生感の楽しみも覗ける感じがした。しかし一度もホッピーを飲んだことがなくてこの本を買う人って僕くらいかもなあ(笑)。2016/11/10
の
5
アルコール飲料「ホッピー」にまつわる社会を研究した本。戦後にビールの代用品として登場し、幾度となくブームになりながら長く飲まれ続けているのだが、何故か居酒屋以外ではお目にかかれないマイナーな飲料でもあり続けている。「労働者の飲む安っぽいアルコール」のイメージは一貫して変わらず、それが昭和のノスタルジーや女子力逆張りのスノッブやら諸々と関連づいているのが現在で、その他にも下町観光や健康ブームもあり、味よりもその時代の流行に便乗できる柔軟な飲み物だという印象を受けた。今度居酒屋に行った時は是非注文したい。2016/11/29