TYOゴシック

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  • サイズ B6判/ページ数 208p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784863323056
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0076

内容説明

古川日出男が挑む、魔都TOKYOの貌。ほら、もうそこに怪物は立っている。日本発・世界文学の新・標準型ニュー・スタンダード。

著者等紹介

古川日出男[フルカワヒデオ]
1966年生まれ。作家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

さっとる◎

40
想像力に対価を支払われるのが作家だ。「物語が生まれる瞬間」と、「生まれた後どのような筋道をたどりどこに行き着くのか」。その2つを上手いことやれば売れる、んだろな。色々大変な東京(TYO)が舞台のこの本は「物語が生まれた瞬間」とイコールな手触りだった。鏡に映る「物語の消息」。その物語の粒たちを追いかける、鏡の向こう側に。そしたらどうなる?こちら側では衝突死が。裏側には物語の粒たちが、散るんだ。ゾワッとしたね、そんな物語が生まれた瞬間が、物語になっていることに。日出男にしか書けない怪物たちの、本。2017/06/15

しゅん

10
東京の小説という定義は嘘ではないが、都市小説という定義は間違いだ。動物小説集である。怪物、魚、蝉、羊。人間はいとも簡単に殺され、無視される。東京という人工的な町を、動物(というか人間以外の生物)に再奪還させることで、街を描き直すための想像力を読者に根付かせる。『バケモノの子』の本当の親は本作にきっと違いない。2018/06/18

gu

7
エイミー・ベンダーかケリー・リンクを意識した奇想短篇集と思いきや、『南無ロックンロール二十一部経』に通じる、これ自体一つの長篇と言えるような作品だった。正直苦手だった文体のハッタリ感(速度を意識している時に顕著な)が減って、ガンガン読めるのに強い圧がかかるような、これまでと少し違う感覚だった。世界との戦いの拠点は「もう一つの」東京で、それは四時十四分とか十一月三十二日みたいな限られた、あるいは存在しない時間の中にある。時間の中の場所という捉え方が面白い。『冬眠する熊~』でも思ったが下世話な情念を排除し2017/01/22

ネロリ

7
古川さんの手に掛かると、東京は大変だ。ついには裏とか表とか数が増えてしまった。まさか、ゴシック→(野蛮な)ゴート人の→雄山羊(ゴート)?言葉遊びならそれもいいなぁ。秩序を監視する魔女とミナミハコフグ。2度死ぬ犬。屋上霊園と鳳凰。東京に運ばれてくる異国、他府県のものたち。明日葉は東京。つぎはぎの体が東京を摂る。そしてたぶん、出会ったからには未来が訪れるのね。『そうだな、世界の翻訳だ。真実の、ってゆうのか。まあ、想像力は迷路でもある。』2011/07/15

ぶうたん

6
明確なストーリーは存在せず、散文詩的な作品なので、イメージ先行で読む。喚起されるイメージを生み出すキーワードは、「東京」や「明日葉」や「ミナミハコフグ」やら一見関わりがなさそうなのだが、著者の中では全編を通して立ち上がるものを企図しているのだろう。ただ、読者の中に明確に伝わるかというと難しいところはある。身勝手な読者としては、かつてのように物語の語り部としての著作を期待したいところだが、ご本人としてはあまりその方向は目指していないようだ。装丁は美しく、鮮烈な閃きもあるものの、やや読者を選びそうな作品。2021/08/07

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