ビザンツ世界論 - ビザンツの千年

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ビザンツ世界論 - ビザンツの千年

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  • サイズ A5判/ページ数 626p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784862851826
  • NDC分類 209.4
  • Cコード C3022

出版社内容情報

本書は1000年にわたるビザンツ世界の歴史や文化を系統だって紹介するものではない。むしろ碩学H.-G.ベック(1910-1999)が若い人たちに行なった長年の演習や講義を要約するようにしてまとめたものである。ビザンツの文化や歴史についての通説とは違った踏み込んだ考察は,著者による独自のビザンツ文化論や社会論を彷彿とさせる。
ビザンツについては,宮廷や典礼の豪華で色彩豊かな儀式や,政治的「形而上学」さらには「いつも遁世や来世を考えている」といったイメージがもたれがちだが,著者は日常のビザンツ人の視点や生活感情を重視し,彼らが都会の流儀,機智,文学的遊びを愛していたこと,複雑な国際関係など,多様な現象を紹介する。
ヘレニズムの遺産はいかに継承されたかにはじまり,国制機構,政治的オルトドクシー,文学,神学,修道制,社会論,信仰,歴史に至るまで,多岐にわたる問題群が深い学殖に裏打ちされた重厚な筆致で描かれ,読者は再読,三読を通して新たな鉱脈や意味を発見するに違いない。巻末には本書に有用な古典のテキストの抄訳と,必要な情報を盛り込んだ索引や用語一覧,文献案内が付され,訳者が入れた小見出しともども読者にとって理解の手引きとなろう。

凡例/序言/第二版への序言

第一章 イントロダクション
一 ヘレニズムの遺産
「前史」「先史」がないビザンツ/デカダンスとしてのビザンツ/ビザンツに先行するものとしてのヘレニズム/ヘレニズム時代との相違/ビザンツとソフィスト/ビザンツにおける古典主義/ヘレニズムとローマの政治の関係/ローマ(ビザンツ)帝国とキリスト教/テミスティオスとリバニオス/テミスティオスに見る,ヘレニズムとローマの政治の関係/ビザンツ帝国における教会の意義/コンスタンティノープルという所
二 ビザンツ史の諸画期
初期ビザンツ/中期ビザンツ/後期ビザンツ
第二章 国家と国制
本章で問題にする「国制」とは
一 ローマというモデル
ローマの元首政とアウグストゥス/「法的に常在する革命によって和らげられた独裁制」としての元首政
二 ビザンツ的規範
ビザンツにおける国家(レースプーブリカ)観念/国家観念と書かれざる国制規範/帝国的な概念としての「国家」とその変容/皇帝と国家の区別/国家の支柱としての法秩序
三 独裁の限界
主権の局限とは/コロナートゥス/パトローキニウム(特にパトローキニウム・ウィコールム)/プロノイアと行政の階層化/都市の自治・自由
四 国制機構
三つの国制機構《元老院/軍隊/民衆》/皇帝の廃位
五 皇帝選び
初期における皇帝選び軍隊皇帝権/皇帝選びにおける舞台と役者の変更/再度の「軍隊皇帝権」/九?十一世紀における皇帝選び/コムネノス朝以降の皇帝選び/選挙君主制と王朝思想
六 統治
二つの権力集団/官僚制と権力/ビザンツの官僚制の非近代性/官僚制の外に設置された統治機能(パラデュナステウオーンなど)
七 「稀釈された主権」
帝国の内部・周辺の政治的形象従属国の例
八 支配イデオロギー
支配イデオロギーの機能/皇帝への召命/ビザンツ皇帝理念/皇帝理念の明示化の形態定式化と典礼/皇帝理念と実際の皇帝のイメージ
第三章 政治的オルトドクシー
オルトドクシー(正しい教え)と信仰/ローマ帝国におけるキリスト教解放の過程/教義問題とコンスタンティノス/教義問題への皇帝の介入政治的オルトドクシーの誕生/皇帝イデオロギーの形成/エウセビオスの定式とコンスタンティノス/むしろ「テオドシオス的」なビザンツ教会/オルトドクシーと皇帝の関係/正しい教義としてのオルトドクシーの宗教的意義/儀礼とオルトドクシー/儀礼的オルトドクシーの包容力/ビザンツのオルトドクシーが受けた衝撃/皇帝を切り離して生き残ったオルトドクシー
第四章 文学
ビザンツ文学特にその「文献学」的性格について
一 各種ジャンル
ビザンツ文学における文学ジャンルとは/ビザンツ文学における抒情詩的なもの/プロギュムナスマ/聖人伝
二 「有意味性」と「現実関連性」
ビザンツにおける教養層の一体性/古典主義と現実関連性/初期ビザンツ文学の場合/中期ビザンツ文学の場合/十二世紀以後/十四・十五世紀/自伝について
三 社会批判?
社会批判の必然性?/政治批判の例/歴史家や主教による批判/十四世紀に特徴的な社会的著作群
四 イデオロギー的障壁
ビザンツ文学と道徳(或いは不道徳)/オルトドクシーから逃れるための二つの文学的な道/第三の道としての異化
五 二言語問題
二言語性とは/ビザンツ文学における二言語問題?/民衆語文学のビザンツ的性格
六 レトリーク
「漁師の流儀」とレトリーク/キリスト教的レトリーク/政治弁論の衰退/レトリークの様々な構成要素/トロポス/皇帝弁論
第五章 神学
一 前置き
出発点におけるキリスト教神学の諸問題/哲学と神学(特に教父たちの)の関係/神学の硬直化の帰結/公会議以外の教義上の権威の欠如/神学の学問的伝統の欠如/「聖職者身分」形成の欠如
二 体系化と論争
神学著作家の中の教義学者の割合/教義的体系叙述(の少なさ)/ビザンツ神学の論争的性格/教義学の基礎は何か
三 教義学の道
「宗教的」教義史の試み/ニカイアとコンスタンティノープル/エフェソスとカルケドン/カルケドン派と単性論派/聖像破壊運動(イコノクラスムス)/第二回ニカイア公会議/フィリオクェ/それ以後の教義論争/パラマス主義をめぐる論争/ラテン教会からの影響/教義史の最後の時代
四 神秘主義的諸体系
神秘主義神学の嚆矢としてのオリゲネス/ニュッサのグレゴリオス/エウアグリオス/擬ディオニュシオス・アレオパギテス/バシレイオスからクリマコスまで修道的神秘主義の系譜/証聖者マクシモス/新神学者シメオン/静寂主義(ヘシュカスムス)/ニコラオス・カバシラス
五 中間の道
ビザンツ人の日常のための神学研究の課題/終わりに
第六章 修道制
ビザンツの修道制を理解するには/修道士になった人々/修道士相互の区別の必要性/不動のものでないビザンツの修道制/修道制の諸形態(隠修制,ラヴラ,共住修道院)/修道制に対する批判/修道士たちと仕事/修道制の偉人たち/修道制と観照/修道制と彼岸/司牧者としての修道士/修道制と人口危機?/修道院と土地所有
第七章 ビザンツ社会についてのコメント
方法的問題イデオロギーと社会状況の関係/ロゴマキア「理論」への愛好心/神学的論争の背景事情?/聖像破壊運動(イコノクラスムス)の背景事情/イデオロギーが諸事情の反映であると言える例/ビザンツ社会における階層形成/「斜めの社会的結合」としての文人層/教会と階層形成/ビザンツにおける「党派」/競技場党派/「ラテン人の友」対「愛国者」/本書で言う「党派」の意味合い/様々な対立軸/水平的な諸階層《上層(支配階層)と,ビザンツ社会における「貴族」/「元老院貴族」について/ビザンツ社会について「貴族」を語るのは妥当か?/中間層/下層》
第八章 ビザンツ人の信仰
ここで問題にする「信仰」の意味/ビザンツにおける異端/「非協調主義」/ビザンツにおける異教/神学と信仰/ビザンツにおける悪魔・悪霊観/なお存続した異教的慣習/ビザンツにおける占星術/ビザンツ人とテュケー(幸運)/ビザンツにおける「二元論」の異端/パウロ派/ボゴミル派/メッサリアノイ(祈?者たち)/社会の上層への異端の波及/静寂主義・パラマス主義と異端/修道制の中の非協調主義/非協調主義者としての「サロス」(キリストのための愚か者)/単純素朴な聖職者たちと民衆の信仰心/終わりに
第九章 歴史という次元
地理的・文化的空間の拡張と縮小/改めて神話について/初期ビザンツにおける社会と文学/中期ビザンツにおける社会と文学/中期ビザンツにおける異教的神話の伝統/文学と支配階級・職業文人/プセロスの時代/コムネノス朝時代における社会と文学/後期ビザンツにおける社会と文学/終わりに――本書で語らなかったことなど

文章選

訳註/訳者あとがき/文献案内/用語一覧/人名(家名,王朝名などを含む)・地名索引

ハンス-ゲオルグ・ベック[ハンスマイナスゲオルグ ベック]
著・文・その他

戸田聡[トダサトシ]
翻訳

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

鏡裕之

2
あまりに訳がひどすぎて、殺意を覚えた。この出版社の本はもう買わないと思いたくなるほど、ひどかった。指示語の扱いがとにかくひどい。商業レベルではないように感じた。2021/03/15

じょあん

0
とにかく趣深く味わい深い一冊。初心者向けではないのでビザンツやキリスト教思想、西洋哲学史、西洋史などに関する事前知識を得てから読む方が望ましい。本書の内容はビザンツ帝国に見られるヘレニズムの要素、その国制、また政治的オルトドクシー(正教)、さらには文学や神学、修道制や信仰のありかたなど多岐に渡る。さまざまな視点で深くビザンツ帝国を切っていく。難解にも関わらず、不思議と読むのが苦痛にならない、ひきこまれる本だった。2019/01/09

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