内容説明
外資系金融機関で働いていた26歳の著者は、ある出来事をきっかけに、同世代の仲間を募って風変わりな組織を立ち上げる。目的は、みんなの空き時間を集めて貧困をなくすこと。取り組むテーマに選んだのは、児童養護施設を通じて知って、日本社会を蝕む「子どもの貧困」問題だった―。
目次
第1部 体験(仕事をしながら社会を変えよう;日本の「子どもの貧困」;児童養護施設に住み込みをしてみた;現場から見えてきたこと)
第2部 分析(五人の子どもの物語;背景にあるものは何か;虐待を受けた子どもの特徴;施設はどう運営されているのか;ハードな仕事をこなす職員たち;施設内虐待の悲劇を防げ)
第3部 行動(僕たちにできること;実践・パートタイムの社会貢献)
著者等紹介
慎泰俊[シンテジュン]
モルガン・スタンレー・キャピタルを経て、現在はプライベート・エクイティ・ファンドにて投資プロフェッショナルとして働く。その傍ら、NPO法人Living in Peaceの代表理事を務める。朝鮮大学校および早稲田大学大学院修了(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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kana
36
《本業を持ちながらの活動でも、社会に大きなインパクトをもたらすことは可能なのではないだろうか》《独り言みたいな声を挙げるだけでも、立派なアクションだ。》そんな強いメッセージと共に筆者の起こしたアクション、実体験と統計的データに基づいた深い考察は具体的でありながら、とても汎用性があり、学びの多い内容でした。そして養護施設の子供たちの機会損失の実態は知れば知るほど胸が痛みます。日本の貧困問題がこんなにも根深いとは。自分のスキルと経験を活かして私にも何かできないか、一歩踏み出すために背中を押してくれる一冊です。2015/08/20
りょうみや
22
誰でも多かれ少なかれ本書のタイトルの想いはあると思う。でもなかなか難しい。著者との違いは結局は熱意の強さと実際に行動に移せるかということになる。著者は自分の強みを見極めて限られた短い時間の中でやるべきことを絞っている。当たり前だけどこれが大事で、このあたりは目的が利益か社会貢献の重みの違いだけで副業やサイドビジネスの手順と変わりないと思える。2022/01/09
速読おやじ
22
NPOで働くことを真剣に検討していた頃、この本に出会った。著者は投資会社で働きながらパートタイムでNPOの代表を務めている。何と僕の同業で同じ志を持っている人がいる!いや言いすぎた。僕の志などちっぽけ過ぎる。今回、たまたま仕事を通じて著者に会う機会があり、僕もNPOの支援をしているんですみたいなやりとりをしたのですが、今度ゆっくりと話ましょうみたいなことになったので、復習のために再読です。著者の行動力、問題意識、頭の良さはこの本からも窺えます。僕たちにも出来ることがある!多くの人が一歩を踏み出せるといいな2013/07/03
Junkyjunk
14
児童養護施設の現状を適切に説明している本と、TBSラジオ、セッション22で紹介された。児童養護施ついて理解が深まったのは勿論だが、自分ができる範囲で社会貢献していくことの大切さを痛感した。筆者の実直な熱意がつたわってくる。2014/03/01
ふぇるけん
13
外資系金融機関でキャリアを積むビジネスマンが、児童養護施設を支援するNPOを立ち上げ、活動を軌道に乗せていくまでの記録。ビジネスマンとしての自己実現だけでなく、こういった社会のために自分自身の能力や経験を活用できる場はないかと漠然と考えていたので、一つのヒントになった。キーワードは『餅は餅屋』。自分の得意技を社会のために活かせる場所を考えてみたいと思いました。2012/07/16