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永遠の吉本隆明 (増補版)

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  • サイズ 新書判/ページ数 228p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784862489531
  • NDC分類 910.268
  • Cコード C0295

内容説明

なぜ安保世代、団塊の世代は彼の思想に魅せられたのか?なぜ共闘者との訣別を恐れず、「孤独」を貫きとおせたのか?彼が貫いた思想の原則とはどこからくるのか?その誠実さゆえに「代償」としてなくてはならなかったものはなにか?その思想にはどんな意義があり、私たちはなにを受け継げばよいのか?吉本思想の「世界的同時代性」は、ほんとうに理解されているのか?大いなる影響と敬意を認めつつ、新たな思想の展開を試みる著者による、二一世紀に向けたスリリングな挑戦!本書によってはじめて「戦後思想の巨人」の思想の深さを知ることができる。

目次

吉本隆明さんを悼む
第1章 吉本隆明とはどんな思想家なのか
第2章 吉本隆明の仕事を読んでみる
第3章 吉本隆明はどう闘ってきたのか
第4章 吉本思想と橋爪社会学と
付録 吉本隆明はメディアである(一九八六)
増補 三島由紀夫と吉本隆明―文学と思想の昭和をめぐる二つのドラマ(二〇〇七)

著者等紹介

橋爪大三郎[ハシズメダイサブロウ]
1948年神奈川県生まれ。東京大学大学院社会学研究科博士課程修了。現在、東京工業大学大学院社会理工学研究科価値システム専攻教授。専門は社会学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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ころこ

35
同時代に受け入れられた存在は、それに乗れない後続の世代からは必要以上に反発を受けて受容されます。吉本隆明ほど、かつての熱狂を冷ややかに受け止められている思想家もいません。著者は、吉本の一連の仕事を団塊世代のルサンチマンを解消する解釈ではなく、我々が今日に評価できる読み方を提示します。吉本とは、文学者で科学者である。文系と理系の素養を平等に持つだけではなく、人文科学にある客観性と文学の内面を持ち、状況を超越した稀有な存在である。手掛かりに十分すぎる内容です。平易な言葉で断言する著者の持ち味は、今回も発揮され2019/04/12

amanon

4
吉本に深く心酔していながらも、決して批判的精神を疎かにしないという著者のスタンスに好感が持てた。後、印象的だったのは一般的には評価が低いと思われる後期の『ハイ・イメージ論』を評価しているところ。それに何かと物議を醸し出したと思われる『「反核」異論』への評価も今になってから初めて理解できる気がした。オウムの麻原への評価にしろ、一貫して時勢に対峙しつつ安易に流されない吉本のスタンスの強靭さを思い知らされた次第。ただ、個人的には社会学者という著者の立場ゆえ文学論への突っ込んだ言及が少ないのが残念だった。2016/03/30

スズツキ

3
今の時代観にマッチしていて実に良い。とにかく連帯を大事にする昨今で筋の通った孤高の思想家、吉本隆明をうまく解剖できている。2016/06/04

オールド・ボリシェビク

2
2020年の12月にも通読している。橋爪さんの世界認識には、私は全面的に共鳴しているのだ。例えばこんな文学観。「自分の世界というものがあり、それは1回的、個別的なもので、他の何ごとにも還元できない。そういう個別的な世界があって、一人ひとりの人間が自分の個別性といかに向き合って、それを受け入れて、それと格闘して、他の個別性に向けていかに表現していくか。そこに文学の核心がある。私一人のことでしかないことがらを、絶望的なかたちで他者に投げかけいてく。そういうこととして、文学の核心をつかんでいる」2022/09/13

yoyogi kazuo

1
小室直樹の弟子筋にあたる社会学者による吉本隆明の解説本。東工大の教授としてビデオ講座も企画している。著者自身の学者としての問題意識と吉本の思想を照らし合わせながら論じている。2022/03/27

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