内容説明
最近の戦国ブームに乗って“よくわかる戦国史”“ここまでわかった戦国合戦史”といった本が多数刊行され、さもその実像が分かってきたような話が氾濫している。例えば、「進んだ軍隊」と言われる信長軍に鉄砲兵がどの位の比率でいたのかのデータは残っていない。根拠のない俗説が闊歩する現状を憂い、軍事史上の未解明テーマに挑戦する意欲的書。
目次
第1章 軍隊は、どのように組み立てられていたか?
第2章 兵種区分はどうなっていたか?
第3章 兵士の装備はどうなっていたか?
第4章 兵士はどう集められ、どう訓練されたか?
第5章 戦国人は、どのように戦っていたか?
第6章 武士たちの功名は、どう扱われていたか?
第7章 死傷者と武器の問題を考える
著者等紹介
鈴木眞哉[スズキマサヤ]
1936年横浜市生まれ。中央大学法学部卒業。旧防衛庁・神奈川県庁等に勤務。歴史研究家。在職中から「歴史の常識」を問い直す研究を続ける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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夜勤中の寺
23
鈴木眞哉の本を久しぶりに読んだ。この本がユニークなのは「戦国合戦・実はわかってない事集」という所。ドラマや映画、漫画や小説で合戦シーンを見て、何となくああいうものだと思っていたが、実際は不明な事だらけである事をこの本に教えられた。わかってる様な前提で見せられているだけなのだ。前後の時代の史料から推察して「多分こんな感じだっただろう」と想像はできても、実際の実際はやはり不明、といった事柄がやたら多い。東と西で随分地域差もあるし。戦国時代はお馴染みのようで、実際は至る所神秘の世界なのだと痛感した。2014/07/04
鐵太郎
9
この本が確信を持って書いていることは、実は少ないのです。 ~ようである。 ~と思われる。 それ以上はわからない。 ~といわれるが私にはわからない。 この繰り返しです。つまり、わからない事が多いんだよ、だからわからないと認める事はまったく問題がないんだよ、ということ。 ある意味開き直りなんだけど、なんかいいなぁ、こういうの。2010/12/27
maito/まいと
5
これまで戦国時代史の研究がいかに曖昧のままで進んでいるかを知って愕然とした1冊。ただ、筆者の著書をすでに何冊か読んでる方にとっては既知の内容ばかり。また、(仕方ないのだけど)「わからない」ばかりで進んで進展性に薄い。さらなる進展がほしい今日この頃。2010/07/05
toriarii
4
タイトルと内容が一致してないと思った。 一般的な歴史小説、高校までの日本史教育を受けた人間にとって記憶にある内容が、実際には再検討がであるということは理解できる。 しかし、それに対する著者の回答が良く解らないでは、本書を手にとった読者が可哀想すぎるのではないだろうか。 また、著者の軍忠状の内容を交えた鉄砲、弓、その他投擲武器を中心とした「遠戦志向」の考察も問題がある。軍忠状の記載対象が「負傷者」を中心にしたものであること、負傷率が装備、使用率には反映されない点に注意する必要がある。2012/07/14
邑尾端子
3
信長に関する諸説は「文献史料がどれもアテにならないから本当のことはわからない」と対案も出さずに「わからん」と切り捨ててばかりいるのに、雑賀衆に関しては信長公記などの文献の記述をそのまま引用して当然の事実のように記しているのが目につきました。私は筆者の雑賀衆に関する過去の著作を愛読しているので、筆者が優れた研究者であることも人を見下したような口の悪い文章も愛すべき個性だということは分かっていますが、この本をはじめて読んだ人にはあまりに身も蓋もなく失礼な構成じゃないのかな、と少し心配になりました。2012/08/19