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サラリーマン漫画の戦後史

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  • サイズ 新書判/ページ数 189p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784862485588
  • NDC分類 726.1
  • Cコード C0270

内容説明

団塊世代の退場、年功序列・終身雇用の崩壊、広がる格差。戦後の中流層を支えたものが過去になりつつある今こそ「サラリーマン」という生き方を見つめ直す時だ。出世街道を邁進する者、万年ヒラの者、脱サラする者、ベンチャーを興す者、仕事より趣味に没頭する者…。サラリーマン漫画の数だけ、働き方がある。ニッポンのサラリーマンたちは、どこから来てどこへ行くのか?島耕作からオタリーマンまで、名作マンガに刻まれたサラリーマンたちの生き様を見よ。

目次

第1章 島耕作ひとり勝ちのルーツを探る(なぜ島耕作は“ひとり勝ち”しているのか;全ては源氏鶏太から始まった ほか)
第2章 高度経済成長とサラリーマン・ナイトメア(最大公約数としてのサラリーマン;子供に刷り込まれたサラリーマン喜劇―前谷惟光『ロボットサラリーマン』 ほか)
第3章 バブル景気の光と影(自虐からの卒業;島耕作になれなかった男―聖日出夫『なぜか笑介』 ほか)
第4章 終わりの始まり(崩壊するサラリーマン基盤;汗と涙と拳と土下座―新井英樹『宮本から君へ』 ほか)
第5章 サラリーマン神話解体(最大公約数の限界;未完のパッチワーク―安野モヨコ『働きマン』 ほか)

著者等紹介

真実一郎[シンジツイチロウ]
神奈川県出身。慶應義塾大学文学部卒業。現役サラリーマン。広告から音楽、漫画、グラビアアイドルまで幅広く世相を観察するブログ「インサイター」を運営(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

bura

35
積読本。図書館のリサイクルコーナーで頂いた本。サラリーマン漫画を通して戦後史を語っていく。全ては源氏鶏太のサラリーマン小説がベースであり、豊かな人間関係に満ちたサラリーマン観、会社観がサラリーマン漫画の最大公約数になっていく。「フジ三太郎」「釣りバカ日誌」「なぜか笑介」etc。そしてその中心に「島耕作」がドンと鎮座していた。しかし21世紀の現在、サラリーマン漫画の世界観は最小公倍数へと追い込まれている。豊かな人間関係も家族の様な会社も消えていく。島耕作が終了する時、新たなサラリーマン漫画は出現するのか?2020/05/12

Miyoshi Hirotaka

28
1920年代に企業社会が到来、大量のホワイトカラーが必要になり、サラリーマンという和製英語が定着。戦後は、都市部への集中に伴い、ブルーカラーも含まれるようになり、独特の階層を形成した。サラリーマンを主役とした映画や小説は、1950年代から現れ、大衆的な人気を獲得。その発端は、源治鶏太の小説で、島耕作シリーズはこの延長。1997年の金融危機以降は、サラリーマン神話も解体。ストーリーの柱であった出世という最大公約数から解き放たれ、大企業の男性社員というモデルから離れ、職業マンガ、情報マンガへと軸足を移した。2014/09/10

ようはん

21
戦後におけるサラリーマン漫画の歴史。父親が若い頃にビックコミック系とか青年誌の漫画を買っていた事で10代ぐらいの時点で釣りバカ日誌やなぜか笑介、サラリーマン金太郎等この本に紹介されている作品はいくらか読んだ事はあり逆に21世紀以降の作品は只野仁ぐらいしか読んだ事は無いぐらい。しかし釣りバカ日誌やなぜか笑介の内容思い出してみるとコミカル描写とはいえ今ならアウトなパワハラセクハラ描写多くて時代は変わったもんだと感じる。2023/04/08

akihiko810/アカウント移行中

18
サラリーマン漫画から、戦後のサラリーマンの精神史を読み解く。印象度A-  期待しないで読んだが、かなり面白かった。膨大な量のサラリーマン漫画が紹介されている。 島耕作をはじめとするサラリーマン活躍の話は、戦後の源氏鶏太のサラリーマン小説が起源らしい。サラリーマンという最大公倍数から、時代と共にライフスタイルの変化で「最小公倍数」を扱う(これはもはやマジョリティが存在しなくなったのだろう)という変化を述べている2021/06/25

乙郎さん

6
源氏鶏太の小説からねむようこの『午前3時の無法地帯』に至るまでのサラリーマン漫画(一部小説含む)の分析を通して戦後の労働形態の変化を読み解く。自分が漠然と抱いていた労働のイメージに根拠が与えられるようで面白かった。2015/11/29

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