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「食べる」思想―人が食うもの・神が喰うもの

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  • サイズ B6判/ページ数 222p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784862485212
  • NDC分類 104
  • Cコード C0010

内容説明

私たちは「食べる存在」であるから、「われ思う、ゆえにわれあり」ではなく、敢えて、こう言わなければならない。―近代哲学が意識の外においてきた、「食としての存在」が「私」という存在を根本で支えていることの意味を根源的に問う。いのちと「食」をめぐる問題に一石を投じる問題作。

目次

はじめに「われ食べる、ゆえにわれあり」―「一口サイズ」の問題へ
1 人の食「食べもの」とは何か
2 神の食「供犠」という思考の考え方
3 吉本隆明の「食」への思いについて
4 宮澤賢治と「食べる」童話
5 「カニバリズム」批判
6 人を食べる「絵本」の怖さと楽しさ―「混合生物」小論
7 鳥山敏子の「にわとりを殺して食べる授業」批判

著者等紹介

村瀬学[ムラセマナブ]
1949年京都府生まれ。同志社大学文学部卒業。現在、同志社女子大学教授。専攻は児童文化(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

トーマ

9
「食べる」ということについて著者の視点から書かれた本です。哲学的で面白い本です。けれどもこの本一冊で「食べる」ということの真理はまだまだ覗けないという印象。それほど「食べる」ということは当たり前のようで難しいことなのだと思う。個人的にはカニバリズムと移植手術の話が面白く、宗教上の理由で輸血や臓器移植を嫌がる人達の気持ちが理解できた気がする。「命」というのは誰もが大切にしているけれど、そこには一人ひとり微妙な違いがあると思う。けれどそこには正解も不正解もない。色んなことを考えられて、面白い本だった。2017/06/06

寛生

6
とてもためになった。しかも、面白かった。一口サイズの言葉から、臓器移植とカニバリズム、はたまた、塩から宗教のはじまるところまで、とても幅広く書かれている。2011/12/30

いのうえ

2
一口サイズに切り刻み、美味そうになったものに、命ある姿を思い浮かべ、悲壮感に苛まれることなどまずない。だが、まぎれもなく命ある姿が、姿なきものへと変化している。人の食とは、有から無(微)の過程なのだ。人間は全てが無になることを恐れ、食べる神を創り出した。無(微)を喰らい、有(姿)を産みだす神。その儀式、供犠を著者は「逆さまの食」と呼んだ。命とは。食とは。我とは。あらゆる文化、宗教をもとになんとも1冊では足りないほど膨大な考察。 人食、それは単に「人が人を食べている」とは必ずしも言えないのだ。2011/11/05

kinoko-no

2
「なぜ人を食べてはいけないのか」という問いを自問してきた著者。「人が食う過程」と「神が喰う過程」の両方をつきあわせることで興味本意ではない思考を差しだしている。宮沢賢治の作品やゴヤの「わが子を喰うサトゥルヌス」などを取り上げている。衝撃的だったのは「にわとり狩り」の授業の話。著者の指摘の通り「生き物を大切にすること」と「生き物に<あなた>を感じること」の違いを獲得することこそが命を尊ぶことになると思う。2011/04/27

Humbaba

2
人間は,いや,人間に限らず全ての生き物は,食物によってその生命を保っている.しかし,我々は食品を見ても,それだけでは美味しそうとは感じない,あくまでも手を加えて,形を帰るからこそ美味しそうと思えるようになる.つまり,思考に対してすらも食事というのは大きな力を持っていると言える.2011/02/14

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