内容説明
そもそも社会科学は、自分の社会を客観的に見つめるための“方法論”である。それが社会科学は武器になることの謂いだ。本書では、近代国家、市民社会を体系的に捉える社会科学の立場から近代の源流をたどることによって、日本社会が抱える共同体の問題を「日本国憲法」、「マルクス主義」、そして「天皇制」という三つの機軸から明らかにする。自らの全共闘体験の敗北を糧に、近代の道筋をたどりなおそうとする、歴史的文脈が深く刻み込まれたポレミックかつ驚くべき精度をもった論理に貫かれた記念碑的著作。
目次
第1章 社会科学はこうして学ぶ(社会科学を学ぶからには;戦後知識人は、どこへ行った ほか)
第2章 日本国憲法はどこが美しいか(あなたは憲法に違反できない;近代憲法のしくみ ほか)
第3章 マルクス主義はどうしてダメになったか(みんな、マルクス主義者だった;資本主義とは何か ほか)
第4章 日本国憲法はどこがいかがわしいか(日本国憲法の謎―天皇;いつから国民は、主権者になったか? ほか)
著者等紹介
橋爪大三郎[ハシズメダイサブロウ]
1948年神奈川県生まれ。東京大学大学院社会学研究科博士課程修了。現在、東京工業大学大学院社会理工学研究科価値システム専攻教授。専門は社会学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ころこ
37
平易で数時間もあれば大意はつかめます。しかし、パーツは誰でも知っており、表現も簡単なのに、論理を確認しながら読むと新たな発見があります。第3章マルクス主義の考え方で、労働価値説とはマルクス主義においては所与の条件であるというのが新たな発見でした。何を当たり前のことをというかも知れませんが、労働価値説に以前から全く説得されていなかったので仕方がありません。それを理解する文章を書けるというのが著者の凄いところで、いつもこういった文章に出会うと、理解するとはどういうことか、論理的って何だろうと考えさせられます。2019/11/15
キリ
1
戦前戦後を理解するにはこの本を読みこなさないと話にならない、ということだけは言える。と思う。2015/01/04
キリ
0
今問題になってる憲法改正とか、かつてあった全共闘とか、ようやく分かった。2014/12/06
中川苦行
0
現在の憲法の成り立ちとその意味をキリスト教から現代まで順に追って説明されていて、世界史の教科書をさらにもう1歩だけ踏み込んだ内容でかなり分かりやすい。社会科学の入門書としてちょうどよかった。2013/08/13
ヘビィ・ベス (野ばら組)
0
構造主義や権力の正体について歴史的な背景とともに時系列に沿って勉強することができる。ただ概論をなぞるだけでなく読者の本質的な疑問に鋭く切り込んでいく文章は流石橋爪先生です… 社会科学を装備して、"社会"という姿の見えないに魔物に挑んでいこう!とワクワクするような本。