内容説明
著者は、近代日本社会の基底にある民衆の自立した精神史を明らかにするにあたり、明治の啓蒙思想・自由民権思想・大正デモクラシーなどを追求する手法をあえてとらなかった。代わりに民衆宗教に注目したのである。なぜか。宗教は国家権力から自立した原始的なかたちであり、その精神にこそ、日本人が国家から自立するヒントが隠されているからである。だからこそ、国家は民衆宗教を弾圧した。国家が宣揚するナショナリズム(民族意識)に対抗する戦略は、民衆宗教に内包されていることを本書は明らかにする。
目次
日本ナショナリズムの前夜―国体論・文明・民衆
天皇制下の民衆と宗教
出口王仁三郎の思想
民衆思想の展開
一揆記録の世界
戦後イデオロギー論
日本社会の「非宗教性」
柳田学と民衆運動
近代化日本の暗箱
著者等紹介
安丸良夫[ヤスマルヨシオ]
1934年富山県生まれ。専攻=日本思想史。京都大学大学院国史学専攻博士課程修了。一橋大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。