内容説明
老いてなお現役であるための決意と覚悟の書!「老い」は、階段を踏み外すように突然訪れる。われわれはこう考えがちである。「老い」は自然にやってくると。だが、黙っていたら老いなんて誰でも同じようにやってくるなんて思っているのは、大いなる錯覚である。「老い」と対峙せず、若さを保とうとするとすれば落とし穴に落ちる。生涯現役であるために、われわれはどんな場所にたてばよいのか?己をめぐる幾多の困難を前に、一度として目をそらさずに発言し続ける著者が、「老い」の孤独のさなかから、老人になってはじめて見えるものをなお変わらぬ態度で語った、吉本流「老いの処方箋」の決定版。
目次
序章 老いとの対峙―自然と和解する意欲をめぐって(若い人へ/老いて一億円あったら、急速に歳をとっちゃうなという感じがします―隠居;人間は自然に老いません。放っとくと、自然以上のスピードで老化するんです―加齢 ほか)
第1章 老いのからだ―肉体の衰えをめぐって(顔色がいいなんて冗談じゃない。こっちは順調に歳をとってます―外から見える老い;人間の精神活動にかんする限り、新しいことはないという感じがします―老いと精神 ほか)
第2章 老いのことば―日本語と歴史の考え方をめぐって(ローマ字が不服です。平仮名だけで作るとか、いつも考えていますけども―祖日本語感覚;ある種の照れ臭さも含めて、「ぼくら」といってるんじゃないでしょうか―地域語の理念 ほか)
第3章 老いと「いま」―格差社会をめぐって(ここ数年の日本の移り変わりはすごいもんだと思います―日本的構造;パーティで料理人になったら光栄極まりない。冗談じゃねえぞって思います―変化の予兆 ほか)
終章 老いの思想―親鸞とマルクスをめぐって(自分と自分の交換がどれだけできるか―障害者としての老人;一人を助けることが全部を助けることと同じ助け方―老いのシミュレーション装置 ほか)
著者等紹介
吉本隆明[ヨシモトタカアキ]
1924年東京生まれ。東京工業大学卒業。詩人・思想家。主な著書に『吉本隆明全詩集』(思潮社、歴程賞受賞)、『夏目漱石を読む』(筑摩書房、小林秀雄賞受賞)など多数
今野哲男[コンノテツオ]
1953年生まれ。横浜市立大学文理学部中退。フリーランス編集者・ライター。月刊『翻訳の世界』元編集長。現・上智大学非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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蘭豆
bittersweet symphony