内容説明
ネット世代の日韓中の対立関係は、いまや千年一日の紋切り型のナショナリズム論では捉えきれない事態に直面している。「反日感情の増幅」や「若者の右傾化」を憂えたり、批判したりすることよりもいま問題にすべきは、各国における「社会流動化」の進行が「不安」を増幅させ、ナショナリズムがその逃げ場となっている事態だ。旧来の「左右対立」とはまったく異なる形で進行するベクトルを掴むには、雇用不安や階層分化といった国内問題と結びつけて分析されるべきだ。若年層問題がその最大の争点になるだろう。若き社会学者がグローバル資本主義下の三国に共通する課題を浮かび上がらせる。
目次
序章 高度成長の再検討とナショナリズムの結びつき
第1章 日本的脱工業化と世代間対立の浮上―日本1
第2章 趣味化したナショナリズムと目標の喪失感―日本2
第3章 ポスト民主化の若者たちのゆくえ―韓国
第4章 社会主義から過剰流動社会へ―中国
結び 社会流動化の中の東アジア・ナショナリズム
著者等紹介
高原基彰[タカハラモトアキ]
1976年神奈川県生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程在籍中。日韓中の開発体制の変容にともなう社会変動を研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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