内容説明
「精神鑑定は科学じゃない」「精神科医に詐病は見抜けない」「何でもかんでも心神喪失で無罪にしたがる」「結論は鑑定人次第」…精神鑑定に対する不信があちこちで言われるいま、その何であるかを私たちはどこまで知っているのだろうか。どんな手続きで精神鑑定が始まり、何が、どう、「鑑定」されるのか。裁判ではどんなやり取りがなされるのか。鑑定と法廷証言の実際を、医療刑務所勤務十六年の経歴をもち、地道な鑑定をつづけてきた著者がふんだんなケーススタディで描く、精神鑑定入門の決定版。
目次
第1章 精神鑑定とは(精神鑑定という法律用語はない;精神科医療にも鑑定という言葉はない ほか)
第2章 メイキングオブ精神鑑定(対象者;鑑定人となるまで ほか)
第3章 精神鑑定ケーススタディ(通り魔のケース1―台風一過、エリートの転落;通り魔のケース2―カルトに包まれたものが陽に晒されたとき ほか)
第4章 精神鑑定のたどる道(措置入院の実態;治療の主題となるべきもの ほか)
著者等紹介
林幸司[ハヤシコウジ]
1957年鹿児島市生まれ。1982年九州大学医学部卒。精神科医として20余年のキャリアのうち13年余りを城野医療刑務所に勤務し、精神障害受刑者の診療に携わる傍ら精神鑑定を多数経験する。現在は民間の精神科病院勤務(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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TsumuRi
2
司法と精神医学。第三章「精神鑑定ケーススタディ」では、実際の面接場面で医師が判断する際の思考の流れや根底にある専門知識を垣間見ることができ、興味深い。きちんとトレーニングと経験を積んだ人が行う分には極端な判断のブレは起こりにくい印象を受けるが報道等で見る事件では鑑定結果に食い違いがある事も多いため、難しい作業なのだろうなと。非行少年において、所謂カウンセリングを受けた群で長期予後が悪くなり重大犯罪を犯した率が高くなったという研究がある事は驚いた。何でもカウンセリングで解決したがる風潮への現場からのカウンタ2012/02/22
シン
1
再読。2006/11/09
シン
1
ドキュメント系はやはり面白いし勉強になる。心理系はそれなりに知識があると思っているが、知らないことが多すぎるなと。この手の精神・心理ものはある意味で胸糞。多くの人に読んでみてほしい1冊。2006/03/06
mt_punt
1
医療現場の臨床では診断は必ずしもはっきりさせずに様子を見ながら関わる、というスタイルはよくあるように思いますが、精神鑑定では非常に厳密に考えることがよくわかったし、面白かった。治療ということとは違っているかなと思った。2010/09/20
おばこ
0
全般的に難しかった。精神鑑定は、素人が思うよりずっと複雑で難しいもののようだ。ケーススタディにはぞっとするようなものもあった。2017/04/10