昭和のエートス

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  • サイズ B6判/ページ数 289p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784862381187
  • NDC分類 914.6
  • Cコード C0095

内容説明

歴史の進歩と、科学への信頼と、民主主義の全能への夢が、リアリティを持った時代―いまの時代で失われてしまった“昭和的なるもの”への痛切なオマージュ。反時代的心象に彩られた、極上のエッセイ集。

目次

第1章 昭和のエートス(私的昭和人論;貧乏で何か問題でも?;喧嘩の効用;団塊の世代からの発言;負け方を習得する;北京オリンピックが失うもの;反時代的考察―森銑三『明治人物閑話』解説;白川先生から学んだニ、三のことがら;日本人の社会と心理を知るための古典二〇冊)
第2章 国を憂うということ(改憲派に訊きたい二つのこと;憲法を改正しないことがもたらす利益;悲しみと恥の予感の中で;なぜ私たちは労働するのか;善意の格差論のもたらす害について;市場原理から教育を守るために;父の子育て;学校なんて放っておけ;神戸女学院大学の生態学的地位;惰性の手柄)
第3章 情況への常識的発言(記号的な殺人と喪の儀礼について;死者とのコミュニケーション;日本属国論;まず日本語を!;「てれび語法」の寒々しさ;貧困層から効率的に収穫するビジネスモデル;「モンスター親」は存在しない;彼らがそれを学ばなければならない理由;著作権についての原理的な問い;情報と情報化;頭を冷やすことの大切さ)
第4章 老いの効用、成熟の流儀(アジア的宗教性;隠居の愉しみ;お金と幸せ;ブログという表現方法;たいせつな本;同時代人へのオマージュ―伊丹十三、手塚治虫、長谷川町子;無人島レコード;ペット・サウンズの思い出;アルジェリアの影―アルベール・カミュと歴史)

著者等紹介

内田樹[ウチダタツル]
1950年東京生まれ。東京大学文学部仏文科卒業。東京都立大学大学院博士課程中退。神戸女学院大学文学部教授。専門はフランス現代思想、映画論、武道論。『私家版・ユダヤ文化論』(文春新書)で第六回小林秀雄賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

なおこっか

5
1945年8月の断絶を体感した昭和人と、維新と言う断絶を体感した明治人を対比しながら語る、昭和論。昭和生まれの自分は腑におちるものがあるが、平成、令和の人々にはどう映るものか。社会や教育についても、著者らしい持論が語られているが、特に“義務教育の義務は子供が学校に通う義務ではなく、保護者が子供を労働力とさせず教育を受けさせる義務である”との話に、はっとした。2020/03/08

taka

3
何冊か読んでいると著者が同じテーマで同じように言っているのが分かる。アメリカの属国である以上改憲は良いとは思えないこと。教育に消費者意識をもちこんで「それが何のために役立つのか」を問うのは危険なこと。仕事においてやりがいや自己実現に目を向けるのではなく、生き残る確率をあげるために自分が優れた能力を他社に提供すること、そしてある程度の過剰提供やアンバランスな取引を許容すること。2019/08/31

スパイク

3
やっぱり内田先生はエライ!視点が違う。三角錐をほとんどのひとは真横からみて三角形だと言う。客観的視点とか俯瞰とかいいながら、物事を真上から観て、丸い形もあるとこを示唆する人もいるが不親切である。先生の視点は斜め視点で、その構造を立体化させる。正しいと言うのではないが、手持ちの賭金を場に張る。「だからどうなの?」という問いには、最終的には「身体感覚」で答えているものの、今の私には「とりあえず内田先生が言ってるから。」は、差し迫った判断をせまられたときに進むべき方向を示している、と私の身体感覚が言っている。2014/02/21

ophiuchi

3
何事に対しても(教育、文学、憲法etc.)健全な視点を持っている人だと思う。文中にあるように大学退職後に喧嘩を売りまくる日が来るのが楽しみです。2010/07/11

manabukimoto

2
内田先生による昭和の日本像の振り返り。 「父たちの世代の『昭和人』には「二度とだまされない」という警戒心よりも「二度と加害に加担しない」という自制と恥辱の感覚の方が強かった。」「恥じ入ること、謙抑的であろうとすること」が戦後の一時期、ある年齢の人々にとっての基本的なマナーであったことは記憶していた方がいいと思う」p18 そんな「佳き」昭和人も先の東京オリンピックを機に変貌するのだが、軍国主義イデオロギー(熱狂とか団結とか)を忌避し、それが最も軽んじたもの「科学性と民主主義」を大切にする。 松本エオンタ蔵書2022/11/23

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