内容説明
王・首長や、文化システムへの支配権・霊威の「委託」は、同時にこれに拮抗する「個体」の文化の豊かさを失うものではなかった。現代の一元的な社会・文化システムの駆動が、多層の文化システムを失わせ、個体の文化の力をいかに偏らせたかを照らし出す人類学の試み。
目次
1(クバにおけるンシャーン(転生)―再生あるいは自己の中の他者
話すこと・食べること・黙すること―クバ文化における身体のフィギュール
穴と蟻塚―アフリカにおける大地=子宮のイメージ)
2(布の始源―草ビロード(ザイール・クバ王国)の空間とリズム
布の造形と社会空間―クバ王国からのノート
王の隠された身体クバおよびレレにおける王権の形成と否定)
3(多産の王と不能の王―クバおよびレレにおける王権の形成と否定;クバ王権とショワ首長権―一王国(ザイール・クバ王国)内での比較の試み)
4(病いを宿すからだ―アフリカの伝統的病い観から;妖術告発裁判における「語り」の論理―アフリカの事例から;森と器―治療者はどのようにして治療者となるか(クバ王国の事例から))