内容説明
“不当な債務”(汚い債務)という概念は、両大戦間期にまで遡ることができる。「国民や市民が、自らの利益に反して、合意なしに負わされた債務であり、しかも債権者は、国民や市民の利益に反していることを知り尽くしている債務」のことである。本書は、豊富な資料・事例をもとに、公的債務の歴史やシステムを分析し、その不当性を明らかにし、未来への指針を示した、欧州で話題の書である。
目次
第1章 金融権力、その現実における組織的な土台と形態(金融の定義とアプローチ;金融が例外的に権勢をふるった二〇世紀;投資資本再編の諸段階 ほか)
第2章 ヨーロッパの債務危機と世界的危機(背景にはとどまることを知らないきわめて巨大な世界規模での危機が進行している;債務による成長の行き詰まり;銀行債務と「シャドウ・バンキング」の出現 ほか)
第3章 正統性なき公的債務(危機に曝されたヨーロッパの銀行―レバレッジ効果と資産のタイプ;ギリシア危機と「汚れた」‐いずれにせよ不当な‐債務をめぐる議論;フランスの公的債務―正統性なき債務の一例 ほか)
著者等紹介
シェネ,フランソワ[シェネ,フランソワ] [Chesnais,Fran〓ois]
フランスの経済学者。現在、パリ第一三大学名誉教授。産業経済の国際比較や技術革新の経済学などを専門とする。経済協力開発機構(OECD)で、首席分析官および科学技術産業局の研究プロジェクトのコーディネーターを務めた。一方で、社会活動にも積極的に取り組み、トービン税の実現を求める社会運動団体「ATTAC」の学術顧問も務め、月刊紙『ル・モンド・ディプロマティーク』にも定期的に寄稿している
長原豊[ナガハラユタカ]
法政大学経済学部教授。1952年生まれ
松本潤一郎[マツモトジュンイチロウ]
就実大学人文科学部准教授。1974年生まれ
芳賀健一[ハガケンイチ]
富山大学経済学部、新潟大学経済学部教授を経て、埼玉学園大学経済経営学部客員教授。1948年生まれ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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