出版社内容情報
自らの伝記的事実と作品をパロディー化し、物語に多様なモチーフを潜ませる。ナボコフが仕組んだ「間違いさがし」を解く訳注付き。本は読むことはできない。
再読することしかできない。
自らの伝記的事実と作品をパロディー化し、物語のそこここに多様なモチーフ(サーカス、コンメディア・デッラルテ、気象、右と左……)を潜ませる――
ナボコフが仕組んだ「間違いさがし」を解き明かす訳注付き。
ウラジーミル・ナボコフ[ウラジーミルナボコフ]
メドロック皆尾麻弥[メドロックミナオマヤ]
内容説明
自らの伝記的事実と作品をパロディー化し、物語のそこここに多様なモチーフ(サーカス、コンメディア・デッラルテ、気象、右と左…)を潜ませる―。ナボコフが仕組んだ「間違いさがし」を解き明かす訳注付き。
著者等紹介
ナボコフ,ウラジーミル[ナボコフ,ウラジーミル] [Nabokov,Vladimir]
1899‐1977。「言葉に魔術師」と呼ばれ、ロシア語と英語を自在に操った、20世紀を代表する多言語作家。ロシア革命の勃発によりロンドン、ベルリンへ亡命。1940年アメリカに渡って大学で教鞭を執る傍ら、創作活動に取り組む。55年、パリで刊行された『ロリータ』が世界的なベストセラーとなる
メドロック皆尾麻弥[メドロックミナオマヤ]
1977年生まれ。佛教大学文学部准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
82
ナボコフの自伝的小説、否、自伝のパロディーだそうです。ナボコフの作品や人となりを知らないと楽しめない作品だと思いました。とはいえ、この作品を通じてもある程度はナボコフがどのような人物であるかは知ることができるでしょう。2018/01/09
Tonex
43
ナボコフ最後の長篇『Look at the Harlequins!』の待望の新訳。▼ナボコフの自伝のセルフ・パロディー。ナボコフの伝記的事実や小説を知らないと全然面白くない。要するにコアなファン向けの作品。訳者あとがきによると、ナボコフのひとりよがりの失敗作として現在でも批判されることが多いらしい。▼独力では解読困難。本書にはありがたいことにナボコフの仕掛けた謎を「間違いさがし」のように解き明かす詳しい訳注がついている。とりあえず1回目は指示に従い訳注を見ずに読んだ。2回目は訳注を参照しながら読む予定。2016/06/13
イシザル
6
ナボコフの最後の自伝的小説としては確かに物足りない気もするし最も偉大な文学賞とらずべくして終わる作品としてちょっと ま そんなに読んでないんだけど 私が思うんですけどね 広大な宇宙に自分の偉大さを示す為に侵略する「皇帝」と、自分の内なる宇宙をひろげるために闘う「ヨーダ」そう「内なる自分」との えっ? 。えっ って なんの話や もうーえーわ。継続。なんやねん?!。知ってるか。なに?。 この話に一番足りないのはオチがないってことを。もーえーわ。2018/02/22
amanon
4
巻末には「見事な日本語」とあるものの、原文があまりに難解というためか、様々な隠喩、引用、パロディなどに満ち満ちているため、読みにくいこと夥しい。とりわけ、著者の自伝のパロディという要素もあるため、その執筆歴について精通していないと分かりにくいところもあるから、独立した作品として評価しづらいというのが正直なところ。基本的には愛妻家だったらしい著者が、本作ではそれなりに性的に奔放であったかのように描かれているのがある意味妙か?ただ、この年のなると、自分の人生を省みるという行為が重いものになることを再認識。2019/07/30
井蛙
3
自分がこれまで創り出してきた虚構の生と自分の実人生とを編み上げて、言うなれば作家としての自分の生をremixするというのは、偉大な作家の文学的余生にのみ許された特権的な戯れだろう。この自分の名前すら定かではないヴァジム・ヴァジーモヴィチは、自分の書いた作品と自分の生との区別がつかないばかりか、自分を別の惑星から描き出している作家(つまり、確かナボコフみたいな名前の作家)の作品とその生との境界線さえもしばしば踏み越えてしまう。もちろんここで描かれる作家としての極めつけの狂気が、「なんとか星」にいる超越的な→2020/07/04