パララックス・ヴュー

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  • サイズ A5判/ページ数 762p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784861822766
  • NDC分類 104
  • Cコード C0010

内容説明

カント、シェリング、ヘーゲルらのドイツ観念論の伝統を基底に、ラカンの精神分析のみならず、脳科学、量子力学を駆使して光彩陸離たる議論を展開するとともに、“死せる”マルクス・レーニン主義/弁証法的唯物論の復活をもくろむ思想的死闘を凝縮した世界的思想家の代表作。

目次

迫りくる弁証法的唯物論
第1部 星のパララックス 存在論的差異のわな(主体、この「内面に割礼をうけたユダヤ人」;唯物論的神学のための建築用ブロック)
第2部 太陽のパララックス だれでもないことの耐えられない軽さ(神の糞であることの耐えられない重さ;自由のループ)
第3部 月のパララックス 引き算の政治学にむけて(剰余価値から剰余権力へ;イデオロギーのいかがわしい結び目、そしてそれのほどきかた)

著者等紹介

ジジェク,スラヴォイ[ジジェク,スラヴォイ][Zizek,Slavoj]
1949年生まれ。現在、最も活躍している世界的な思想家の一人。スロヴェニア・リュブリャナ大学で哲学を学び、パリ第8大学のジャック・ラカンの娘婿にして正統な後継者ジャック=アラン・ミレールのもとで精神分析を学ぶ。カント以来のドイツ観念論の伝統、マルクス、レーニンの思想を背景としたジャック・ラカンの大胆な解釈で知られる

山本耕一[ヤマモトコウイチ]
1950年生まれ。現在、駿河台大学心理学部教授。東京大学大学院修士課程修了。哲学・倫理学専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

34

19
数学的に表現される自然法則がどこでもないところからの眺めを記述しているとすれば、不思議なことにその形式は、日常的なここからの眺めとは矛盾する。特定の風景のあらわれのなかにはまなざしの反照たる盲点が含まれている。そして一つのまなざしはつねに身体を備えている。ジジェクいわく、この欠如(盲点)と過剰(肉)のショートこそ、ここからの眺めの可能性の条件である。これはラカンの幻想のシェーマでもあって、有限な存在者の存在論と、社会的なイデオロギーの認識論がショートし、複雑に絡みあっているのがこの本の困惑させられる魅力。2017/11/04

またの名

11
二つの集団で構成されるある村の人間が地図を描くと、一方に属す側は中心と周縁に分かれた円を、他方の側は村を分断する見えない境界を書き込んだ話から、独特な現実界理解を披露。どちらの世界観も村全体の調和的統合を阻み象徴化できないトラウマ的な敵対関係という現実界を処理するための試みで、それを象徴化する事は必ず歪められた視点からしか可能でないため、歪んだ視点から視点への移行と隔たりにおいてのみ出現するのがパララックス的な現実界と主張。同じく政治は経済を括弧に入れた時のみ扱えて、経済は政治を括弧に入れた時のみ扱える。2017/09/27

チョッチュネ

2
権力、資本制を超克するに柄谷のカント的倫理には限界があるとジジェクはいう。フェティッシュを解消するにそれで十分であろうか?と。権力の”場所”が抹消されない限り、資本の流通は永遠であり、その脱構築も依然として幻想の中である以上、必要なのはヒステリーである絶え間なき欲動の再生産を虚構(充填され得ない穴)として分析、提示する事である。というラカニアンの革命提起。2010/02/17

 

1
再読。柄谷のマルクスの交換価値読解に対する言及もそうだが、意外と文芸批評が多めに入っている(ヘンリー・ジェイムズ作品の批評としても面白い)ジジェク の面白いところは、高度に抽象的な哲学談義と卑属で下世話な話を結びつけること(「精神は骨である」!)であると思うが、それは語り口だけではなくて、幻想(=イデオロギー)と「現実」の微小な差異=ズレを透視し、「開かれた空間」としての抵抗の場を措定する身振りとしてある。2023/09/15

メルセ・ひすい

1
13-49 赤11・大書のためとりあえず 『スチーウォーズ』『マトリックス』『マイノリティ・レポート』のそれぞれの議論・金融危機・あり。◎筋金入りのマルクス主義者はヘーゲルをどう読むか?注・社会主義者、諸君はかなり気が滅入る!かも・・★社会の変革において実質的な意味を持つのは「経済」である。ここで勝つことは必須。「政治」の領域は「経済」に比して実質を持たない、「影絵芝居」である。にも拘らず、「主要な闘い」はジジェクによれば、「政治とイデオロギー」の領域において遂行されなければならない。2010/03/21

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