内容説明
はじまりは、ある雨の朝。登校した一郎は、周囲の様子がいつもと違うことに気づく。奇怪な事件が続出する中、神秘的な美少女・龍子らとともに、不思議な力を宿すという“光車”を探すことになるのだが―。“光車”とは何か。一郎たちは「敵」に打ち勝つことができるのか。魂を強烈に揺さぶる不朽の名作が、待望の文庫版で登場。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
71
一郎君やルミちゃんの活躍ぶりが微笑ましい。しかし、友達が死んでいたり、身近な人間が家族を人質にして子供を脅しつけたりと児童小説なのにヘビーな描写が続く。書かれた時代や作者が生まれた時代から全体主義や赤狩り時代を彷彿とさせる一方、氾濫する川の様子を血管の出血に例えている時点で子供たちの活躍は『ミクロの決死圏』の役割なのかなとも思ったり。そして『コンスタンティン』や怪奇・幻想ものと同じく、水は異界への扉なんだな。必ずしも善悪は区分されているわけではなく、人々に混じり合っている事をいつか受け入れなければならない2016/06/10
らぴ
28
森見登美彦が『ペンギン・ハイウェイ』を書くにあたって影響を受けた一冊としてあげていたので読んでみた。全体的に暗いトーンの物語で、一向に明るくなる様子がないままに終焉へ。このダークテイストは子供の頃に読んでいたら絶対取り憑かれていたと思う。大人になるって辛い。2010/07/03
yourin♪
15
今、私が存在する世界の裏側に全く別の世界があり、いつでも表に取って代わろうとしている恐怖・・・子供の頃に読んでたら怖かっただろうなぁ~^^ ところで、ドミノ茶ってどんなお茶なんだろう、気になる~! スカイエマさんの挿絵が好きです♪2010/02/16
かお
13
私の想像で合ってたのか…世界観が凄くて、きっと足りていない💦水の中の逆さま世界。視界がグルンと回る感じ。迫り来る黒い怪物たち。 充分に情報をもらえないまま、水の中から出てきた不気味な敵と戦う小学生達。敵に勝つには、「光車」というものを3つ集めること。どこにあるのか、使い方も分からない。水の中の敵以外にも、緑の服を着た集団も現れる。 児童書だけど、子供扱いして書いている感じがしない。三浦しをんさんの解説も、面白さがビシビシ伝わって良かった😊2021/08/02
むつぞー
12
3つの光車、さかさまの国、地霊文字、黒いばけもの、緑色の制服…正義と悪との対立を読んでいたかと思えば、そんな簡単な物語ではなくなっていて…。イメージに引き込まれつつ、不安さにドキリとし、残されてしまったものの続きを日常の中に探してしまいそうです。子供の頃に出会えていたらもっとワクワクしたと思う。そして水たまりをよけて歩くようになっただろうな~。2010/05/14