内容説明
柿本千佐、女子高の1年生。22歳のニイちゃんは元不良で無職、父さんは小学校教師でクソ真面目人間、母さんはお見合いでバツイチ堅物男と結婚した専業主婦。父さんはあたしに、修道女みたいなタイプを望んでいる。最近、いつも動作がスローな同級生・及川周子が気になってしかたがない―。『しゃべれどもしゃべれども』などで話題の著者による、ちょっと痛くて切ない少女たちの物語。
著者等紹介
佐藤多佳子[サトウタカコ]
1962年東京都生まれ。青山学院大学文学部卒業。89年「サマータイム」で月刊MOE童話大賞を受賞してデビュー。『イグアナくんのおじゃまな毎日』で日本児童文学者協会賞と路傍の石文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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SJW
116
女子高生1年の千佐の兄は22才で無職の元不良。厳格な父とオロオロする母親の家庭は荒んでしまうが、千佐のクラスで一番下のカーストの及川と徐々に打ち解けてくる。読んでいて痛くて切ない話だった。人生を捨ててしまっている若者たちの話は辛い。2020/06/04
5 よういち
71
厳格な父、常に遠慮がちな母、元不良でバイク事故を起こしたニートの兄。高校1年生の柿本千佐の目線で語られる物語。千沙は今は同級生のカースト高位の玲子たちとつるんでいるが、同じクラスの及川周子が気になっている。及川の動作は常にスロー。及川との関わりが深まるにつれて明かされていく本当の及川の生い立ち。そして、一平は事故以来、足が不自由で速く歩けない。及川と一平の歩調はシンクロする...◆マジメにも不良にもなれない千佐の感覚は、若かりし頃ボクたちが持っていた、少しワルぶってみせたがる感覚に似ているかもしれない。2018/09/15
ひろちゃん
58
読みやすくて、瑞々しい。中学生にオススメ2015/11/19
巨峰
22
痛い。なんだか痛い。なにもかも解決しないまま、ほうりだされたような読後感がある。若いのになんだか行き詰まっている兄、妹、その同級生の少女。今日の続きの明日という可能性だけを示して、短いだけども重い物語は終わる。2010/08/14
金吾
19
不思議な感じですが、読み終わったときにはなんとなく切なくなる話です。女子高生の繊細さが伝わってくるように感じました。兄さんはよくわからなかったです。2021/01/02