内容説明
神君朱印状をめぐる陰謀にからんで強硬派老中二名に傷を負わせた新吾は、紀州藩幽閉の身となる。半年を紀州で過ごした春三月、剣の恩人梅井多門と、彼を失明させた仇敵武田一真との最後の決闘の日が近づいていた。場所は比叡山の四明嶽頂上。藩境を越える禁を犯し、新吾は多門助太刀のため紀州領を脱出する…。
著者等紹介
川口松太郎[カワグチマツタロウ]
明治32‐昭和60年(1899‐1985年)。小説家、劇作家、演出家。東京浅草生まれ。久保田万太郎に師事。講釈師悟道軒円玉のもとで江戸文芸と漢詩を学ぶ。大正12年、小山内薫の主宰する「劇と評論」に脚本『足袋』を発表。同年、直木三十五らと雑誌「苦楽」の編集にあたる。その後大衆作家を志し、昭和10年『鶴八鶴次郎』『明治一代女』などで第1回直木賞を受賞。芸道小説、時代小説、風俗小説に独自の話術をもって庶民的心情をとらえる。15年、劇団新生新派の主事となり、以後新派の育成に力を注ぎ、戦後は大映の重役として映画、演劇の制作にも活躍した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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