内容説明
本人は否定しながらも、その出自ゆえに指摘される「日本的なるもの」とは―川端や谷崎を参照しつつ、イシグロ文学に新たな光を当てる。日英における受容の違い、母性憧憬、「オリジナルとコピー」などをテーマとして考察。
目次
第1章 カズオ・イシグロと原爆―アラキ・ヤスサダ事件を参照して
第2章 カズオ・イシグロと川端康成―遠い記憶のなかの日本
第3章 英語で書かれた想像の日本語―カズオ・イシグロと翻訳
第4章 カズオ・イシグロの文体とテーマに見られる日本的美学―谷崎潤一郎の『文章読本』を参照して
第5章 他者との共生のためのレッスン―『充たされざる者』を読む
第6章 カズオ・イシグロの作品に見られる母性への憧憬―『わたしたちが孤児だったころ』を中心に
第7章 カズオ・イシグロの日本表象―川端康成との対比を通して
第8章 「オリジナル」と「コピー」の対立―『わたしを離さないで』を読む
補論1 日本におけるカズオ・イシグロ―その受容と先行研究の整理
補論2 イシグロと長崎
著者等紹介
荘中孝之[ショウナカタカユキ]
1968年生まれ。バーミンガム大学大学院修士課程(M.Phil.)、大阪大学大学院文学研究科博士課程修了(博士(文学))。現在、京都外国語短期大学准教授。専門は英文学、比較文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ぴー
1
途中誤摩化し過ぎててわろた。研究書ならもうちょっとがんばって。2012/02/25
Nobody1
0
「日本」と「イギリス」を軸に比較文学の立場から考察しているイシグロ研究。日本での需要や今後の研究課題などがわかりやすく書いてある。2012/07/04
コキア
0
日本で生まれながら、イギリスの作家である カズオイシグロ作品についての論考。 翻訳本のむずかしさ、 原文のニュアンスを伝える難しさについては原文を読めないのだから仕方がない。ただ訳者は気にして読むようにしている(わたしは) 日本には5歳までしかいなかったのだけれど、日本的感性、日本性を窺わせるとあるが、わたし的には英国的品格や優雅さのファン。 村上春樹氏がカズオイシグロをリスペクトした文章があるそうなのでこちらも探して読んでみようと思う2022/10/12