内容説明
臓器移植、糖尿病、セクシュアリティ、老い、死など、魅力的なテーマと具体的な事例から、身体の不思議に迫る。
目次
第1部 表象される身体“理論編”(世界的身体World Body;社会的身体Social Body;政治的身体Body Politics)
第2部 実践する身体“応用編”(身体をめぐる自己と他者;身体感覚を研ぎ澄ます;性の越境の多様性;老いることの意味;顕在化する死)
あなたの身体と“つながる”身体
著者等紹介
浮ヶ谷幸代[ウキガヤサチヨ]
医療人類学・文化人類学。2001年Ph.D.(学術博士)取得。2009年相模女子大学人間社会学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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jjm
11
ふと、落ちている髪の毛(料理に入ったり)をどうしてそこまで嫌がるのか、と思って調べていたところ本書にたどりつく。これは実は髪の毛だけではなく、爪、唾液、糞尿も同じ位置づけである。「身体から離れた身体の一部は、自己でも非自己でもないようなあいまいな中間領域に位置することになり、「つつがない」日常を壊すものとして、あるべきところにないものとして、人々に「汚い」「気持ち悪い」と思われるのである」臓器移植の話や個人を区別しないある社会の話を読み、犬猫はなぜ自分の手足を餌だと認識しないのか?とふと思った。2023/10/07
arisa
1
障害がある子供をもつ、親御さんが彼らのことを「天使」と呼ぶ。それを思い出した。2022/11/10
my
0
前提となる身体理論の言及が不足しているためか、社会現象への応用が甘い。内容自体は印象が薄いが、画像史料の挿入が面白い。「紙本著色九相図」が衝撃的だった。2011/07/02
いまにえる
0
身体性と境界理論について理論編と実践編に分けて書かれた人類学の入門書。分類の余剰が聖的あるいは穢れを持つものとして「創出」される。幻聴、糖尿病患者、ヒジュラに見る「強制」性別二元論の批判、老人や遺体に対する実践などが主な内容で、どれも普段気にしない、あるいは「他者」である立場の実践であったが、そこには普段身近に感じているものが自明ではないと感じさせる「もう一つの道」を見ることができる。常識を疑う人類学の面白さが感じられる本だと思う。2018/01/29