感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゆう。
26
難解でした。「安全」「不安全」という概念が僕にはわかりにくかったのかもしれません。副題にあるように資本主義社会において「保護されるとはどういうことか」を考察した内容です。資本主義がもたらすリスクに対して社会保障などの保護システムがどのような意味を持つのかを考えることができました。現代資本主義は国家による保護システムを市場化し、弱体化させています。そうしたなかで本著は資本主義のこれからのあり方を問いながら、保護システムの重要性を述べていたように思いました。2018/02/16
Mealla0v0
4
私有財産(財産の私的所有)の保障に基づく市民的保護に対し、社会的保護は古典的リスク(事故、病気、失業等)をカバーするタイプのものだ。社会的保護は、雇用の保障と社会的所有によって可能になる。リスクを社会全体で連帯保証すること、このような保護の手厚い社会が賃労働社会・同胞社会・保健社会としての社会国家だ。この社会国家が可能なのは経済成長と保護団体への加入によって。だが、社会国家の内的不調とグローバル資本主義の進展によって崩壊へと向かう。その渦中で保護の個人化=自己責任化が進む中、新しい社会的保護が求められる。2021/02/15
深夜の麦茶
2
後期近代論、とりわけリスクの話を社会保障の文脈に落とし込んだ本。ざっくり「ギルドに帰属したら保護するよ」→「ぼっちが辛い」→「独立できるように私有財産保護するよ(法治国家)」→「無産階級が辛い」→「働く人々の集団を保護するよ(社会国家)」→「非正規労働者と新しいリスクがヤバイ」→「集団じゃなくて個人を保護するよ」という流れ。これに対して、集団的な保護をどのようにして取り戻していくか、という問題提起で終わる。訳なのか原著の問題なのか、文ごとの論理的繋がりがややわかりにくい所があるが、話としては分かる。2013/04/09
hisajun
1
☆☆☆★★2009/06/19
Mealla0v0
0
サブタイトルにあるように「保護されるとはどういうことか」が問われている。保護には、法治国家における自由の保障からなる市民的保護ともうひとつ、本書のテーマである、リスクからの社会的保護のふたつがある。問題は、いったん保護されると、その不在が不安全となること。つまり、安全/不安全は――フーコーの言う権力のように――関係性の問題なのである。言ってしまえば、わたし達はリヴァイアサンに骨抜きにされてしまい、求めているというわけだ。では、どのように独立すべきだろうか。カステルは、それには社会的所有が必要だと言った。2017/07/22